ミルシティンの弾くヴァイオリン・ソロを聴く
J.S.Bachの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータのCDを購入した。これはヴァイオリンの奏でる音色を聴くためにSonus Faber FM2なる旧いスピーカーを買ってしまった連鎖からである。なにせ国から使うための給付金を頂いたのでありがたく使ってしまった。ヴァイオリンの音源はあるのだけど、協奏曲ばかりなのでソロの音楽をと思い、買って聴いてみてビックリ。知らないとは恐ろしいもので、どう聴いても二人いるとしか思えない。やたらに重奏音が多くてしまいには通奏低音のような伴奏にメロディラインが流れてくる。2弦は同時に弓に当たるのだろうけど、こんな風に弾けるのが不思議でならない。ミルシティンが有名だったので買ったけど、なるほど名盤である。
ソナタとパルティータの違いがそもそも判らないけど、パルティータは変奏曲の意味合いが強いもののようだ。でも、ソナタが3曲、パルティータが3曲あって交互に出てくる。だから全曲聴こうと思うと100分ほどかかるので、2枚組のCDになっていて、大抵は1枚聴いたところで十二分に堪能できる。Sonus Faber FM2が奏でるヴァイオリンは見事であり、弓と弦の擦り方がうねりになって届き、ああーヴァイオリンってこんな音がするんだと更に驚いて聴いてしまう。ミルシティンはこの曲を2回録音しているようで、これは2回目の1973年69歳の時の録音だそうで、とても69歳には思えない。重厚でしっかりとした技術に裏付けられ、研鑽してきた者のみが放つ芸術の香りが部屋に漂う。