小さきものたちとは鶏のことのようだけど、鶏がマイノリティだとは思えない。各章に小さなタイトルが付いていて、その中の一つが本のタイトルにになっているけど、なぜこれをタイトルにしたのかは判然としない。
ナイジェリアの古い神々と思しき名前が謳われて主人公に宿った守り神が物語を克明に語る。でも守り神と言っても何も守ってくれず、主人公は災難に昏れるばかりで疫病神としか思えない。
そのせいか許しを乞う神はイエス・キリストであり、様々な聖書の話が引き出される。単純にキリスト教を広めたいのかと思えてしまうが、ラストまで読むとそうとも思えない。
話の展開にはかなり無理があるようで不自然さが降りかかる不幸を軽くしているように感じられるせいか、文は際限なく強いタッチで不仕合わせを表現しているようだ。
愛を確かめようとする映画を思い出した。ラストがアルプスの山の氷壁の中に閉じ込めれた物を掘り出すシーンだったように記憶している。愛とは確かめる時に終わりを告げるというテーマだったと思う。
いずれにしても過去に生きてはゆけないし、この本は読む物では無いと思う。