ハーレム・シャッフル  コルソン・ホワイトヘッド 著 藤井光 訳

  ハーレムと聞くと女性に囲まれた浮かれ気分を浮かべるのだけど、これはニューヨークのハーレム地区だった。オランダ人が住み着いてオランダの都市名から付いた名前らしいけど、黒人街としての方が馴染みがある。ハーレムにはアポロシアターがあってジャズを想い起こし、物語りの1960年前後はビバップの時代だ、でも主人公は好きではないらしい。


 家具店を営む主人公は黒人でハーレムの生まれ、親父はアウトローだったけど大学を出て真面目に生きているのだけど、幼い時から共に育った従弟の悪業に巻き込まれてしまう三つの物語が展開される。
 テレビシリーズにしたらヒットするんじゃないかと思える小気味良い展開がスラスラとページをめくらさせてくれる。3話のうち2話目は少々構成が軟弱なような気もする、掛けた費用と動機になった費用に釣り合いがとれないが、親父の血を引いていると思えばそれで良いかとも思う。
 物語りは面白いので、さらに環境や文化のような生活に密着した話も入れてくれるとよりジューシーになって深みがでてくるように思える。