トライアド Triad HS-1 MCトランス 配線交換 音質:レビュー

  MCカートリッジの昇圧をするインプットトランスの中で有名な機種と言えば、Western ElectricのWE-618B、Peerlessの4629(K-241-D)、UTCのHA100X、そして今回入手できたTriad HS-1だと言われている。もっとも飛びぬけて618Bが高くて手にできそうにないし、高額になると偽物も出てくるようです。さて音質はいかがなものか愉しみです。

 

目次
    1)昇圧について
    2)最初の試聴
    3)昇圧変更
    6)音質について
【昇圧】
 今回はケーシング済の物でしたので、いきなり繋いで音が出せます。トランスの仕様としては、1次側が600, 250, 150, 62.5Ωの接続方法、2次側は77,000Ωのみで20-20kHZの周波数帯域がトランスに表記されている。今回の接続は150ΩになっていてSPUなどの低インピーダンス用に昇圧が高めにしてある。1次側150Ωの設定で22.7倍の昇圧です。



【最初の試聴】
 聞き始めはなんだかボソボソするのはどんな機材でもそうなのだけど、しばらく聴いていても変わらない。カートリッジはオルトフォンのSPUシナジーであり、音のメリハリが強い傾向なのにである。もともとシナジーを少しウィットにして活力と陰影を併せ持つ音にしようと思ったのだけど、負のスパイラルのような気がしてきた。

 シナジーの場合、低インピーダンスだとは言え出力が高いので昇圧を下げた方がいいのかもしれないし、1次側のピンをクロスして繋いでいる線が細くてヨレヨレなのが気になる。


【昇圧変更】
 そこで600Ωで受ける配線に変更し、3‐4番ピンの接続をWEの単線に替えてみた。随分と音がスッキリとしてきて左右の分離もよくなり、響きも良くなってきた。昇圧が下がった分だけアンプで音量を上げており、MCトランスの影響が少なくなっているのかもしれない。MCトランスやヘッドアンプを通さずにMCカートリッジを聴くと大抵はエッジが立ってHiFiな音になる傾向なので、そんな音に感じる。1次側600Ωで昇圧は11.3倍です。


【昇圧再設定】
 しばらくこの設定で聴いていたけど、なんか巷で言われているような評価にはならない。確かにウィット感も出てシナジーのメリハリもあるのだけど、音のつながりと切れ込みが悪いように思える。これはやっぱり配線を全てモガミのOFCに変えて、入力も150Ωに戻して切れ込みとガッツ感が足せないかと思い、再度配線をやり直すことにした。

【配線変更】
 はんだは銀を4%含んでいるWBT-0820を使用した。無鉛はんだだけど溶融点が低くて使い易く高音質という謳い文句につられて買ったものだ。溶融点に関しては確かに低くてありがたく使い易いです。


【音質】
 さて肝心の音質ですが、目論見通りになりました。弦の音の響きやピアノのタッチ感が乾くでもなく湿っぽくでもなく丁度いいですし、サックスの吹き方のニュアンスも出て残響の交わり方もいいので、オーケストラのような大編成の音も心地良いです。

 そこでちょっとカートリッジをオルトフォンのSPU GEに替えてみたら、こりゃビックリ!って言うくらい相性がいい。配線を変えたことと出力電圧が下がったこともあるでしょうけど、同じ時代の一級の製品同士なのだから方向感もあっているように思えてきます。もともとSPUの筆頭候補になるですから、当然と言えば当然なのかもしれませんが巷の評判通りの音が聴けて愉しいです。

【追伸】
 Goldring Eliteを買ったので、出力電圧の高いカートリッジが増えた。
SPU GEの方はSTA-6600を使えば良いので、再度配線を変更して1次側を600Ωにしました。前回と違って音のメリハリもある中、程よく丸味も出てうっすらと艶ものります。意外とHi-Fiなカートリッジとの相性も良くて、カートリッジの特徴が活かされる中に弦の響きが気持ちいいですし、ヴォーカルは声が少し前に出て、中音域の張り出しと伸びやかさが秀逸です。


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