アメリカーナ チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著 くぼたのぞみ訳

  上下2段の文字列で530頁もある恋の遍歴書。ナイジェリアからアメリカへ移り、時の流れに翻弄されて青春期の恋を恋慕しながらつづられるメロドラマだけど、文体が軽いので昼メロのようなドロドロ感はなく、結構省いた方が良いように思えるところが多く、できたら半分のページに凝縮した方が胡散臭さが消えるように思える。


 主人公は女性でナイジェリアの都市ラゴスで暮らし、お金持ちが通う学校へ行っているのだけど家賃を滞納する家庭に育ち、高そうな月謝を払えるし、アメリカへ行って貧乏生活をするのだけど、借りてきた貧乏のようで貧困さはない。

時間の始りの妄想

忙しさから離れて時間ができるようになると、子どもの頃のように妄想が巡る。
夜宙を仰ぎ見れれば星の瞬きでE=mc²が呼び起こされた。
でもこれって時間がなかったら意味あるのかな?
などと不思議な疑問が湧いてきた。
と言うことは、先に時空が存在するのではないのか?
空間の無いところでも場所と呼ぶならば、
時は全ての宇宙と次元空間を包んでいるのかしらん、
次元の違いによって時が違うから穴が空くのかも知れない。


『逃亡派』を読んでみた  オルガ・トカルチュク 著  小椋彩 訳

  原題は『BIGUNI』、ポーランド語でランナーという意味合いらしい。いくつかのエッセイ風や短編の集まった本で、その中の小説の題名が本のタイトルになっているジャズやロックのアルバムのタイトルが収録された曲名と同じと同じです。


 読むと思い出すのは芥川龍之介の『侏儒の言葉』だけど、似ているのは編纂だけかもしれない。訓戒的でもないしアフォリズム的でもないのだけど、厭世観から離れてより遠い所から観ているようで直ぐ身近にある。

シューベルト: ヴァイオリンとピアノのための作品全集

  ヴァイオリンはユリア・フィッシャー、ピアノはマーティン・ヘルムヘン、曲はシューベルト。


 CHANDOSと言うヨーロッパのレーベルがあって、直販サイトがあります。ここが月毎に25~30%の割引をレーベルごとに入れ替えて販促していて、PENTATONEから出ている表題のデジタルソースを買いました。いつもはHDtracksから買うことが多いのですが、最近のドル高円安のためにため息をする有様で、30%引きに挽きこまれた次第です。

 シューベルトは大変好きな作曲家で、なんでしょうか、やわらかく穏やかな空間に包まれるような気がするのです。それにユリア・フィッシャーのヴァイオリンもしっかりした音の中に気の休まるものがあるように思います。