真空管プリアンプの温度があったまるとノイズが出る

  Chriskit Mk6 Customという旧い真空管アンプのくたびれた電解コンデンサを交換して数か月経ったころから、真空管アンプが温まるとジーと言う盛大なノイズが出る時がある。プリアウトからの接続時のみで何故かアキュフェーズに接続している時はよく、TU8600Rに接続したときに起こる。ソリッドアンプでメーカー品なのと真空管でKit品の違いなのだろうか、それとも偶然なのだろうか。ノイズなのでアキュフェーズの場合は安全回路が働くはずなので、いかにも不思議で仕方がない。両チャンネルともに出るので、フラットアンプ部だと思われ、何かが振動して起こっているように思える。なにせ、コンデンサの脚を繋いでいるので半田が割れているのだろうか。


 蓋を開けてコンデンサをコツコツと叩いてみるが、半田が割れている様子はない。いも半田になっている場合は叩いただけではわからないので、少々手荒くつまんで引っ張ってみる。意外としっかりくっついている。しかたなく蓋をして機器を戻した。そうすると何故か収まるのだが、数日経つと僅かにノイズが出る。ありえそうなのは真空管のソケットなのだが、基板に半田付けしてあるタイプなので、ここが原因だと基板を外すしかない。それを行うのだったらコンデンサの脚も外したのにと思う。とりあえず、真空管の脚とソケットの穴をアルコールで拭いてみる。ソケットの方は歯間ブラシを使うと便利と書いてあったのでWebのアドバイスに従った。前よりはノイズの出方が優しくなったので、やはりソケットのようだ。真空管を掃除した時にテレフンケンの12AUは入れ替えなかったので、きっとここが熱で緩み真空管の振動でノイズがでるように思える。

 TU8600Rの前段に12AUを2本使っていることを思い出した。こちらは新品のJJが付いており、音の違いも分ることだしと思い交換してみることにした。さすがにTU8600Rは新しいので真空管を外すのにも固くて力が要る。プリアンプの方に差し込む時、新品と比べれば緩いのでほんの僅か傾けてきつくなるようにした。真空管の揺れを考えると好ましくはないが、温度が上がって緩むよりはマシだと思うし、これでダメなら基板を外してソケットを交換しようと思う。


 とりあえず、ノイズは出なくなった。さて、音色の方はというと、輪郭は明瞭で明るい傾向はそのままで音像がおおきくなった。フラットアンプの真空管が新しくなり、これはマッチ度だから音に元気がでたのかも知れない。しかも、TU8600Rにつけたテレフンケンがそのままクッキリした音を奏でているようだ。禍を転じて福と為すという珍しくよい修まりでありがたい。アキュフェーズE-470をプリとして繋いでみる。300Bの真空管は凛とした音色だけど、テレフンケンになることでより明瞭になって線が細くなるのではないかと危惧したが、杞憂に終わった。E-470テレフンケン300Bとどれもスッキリ明瞭なタイプだけども、ことさらに強調されるようなことはなく凛凛と輝いた高音域の余韻が伸びてゆくようになり、クラシックのソロなどは綺麗に響いて清々しい気持ちになれる。



 しばらくしたら、またもやノイズが出る。クリスキットの出力をTAPE OUTにしても盛大にZiZiZi―となり、パワーアンプへの出力とは関係なくなってしまう。真空管のソケットを替えるのは面倒で当分できれば避けたい。悩んでいる内にマランツタイプのフォノイコライザも真空管で松下とJJが付いていたように思い、JJを外してみると803Sで高精度タイプだった。一縷の望みをかけて交換し、数日間が立つがなんとか持ちこたえている。でも、たまにキーンという薄くて儚い小さな音が漏れる。どうもマイクロフォニックスといわれる真空管自身の微振動が出ているように思える。でも、盛大な音にならずに済んでいるので助かる。抜いた東芝のHiFi管はピンが焼けて変色しているけど、綿棒で拭いてマランツタイプのフォノイコライザに付けてみた。こちらはソケットも新しく金メッキなので問題がないようだ。音はより澄んだ音で高音が滑らかであり、日本の真空管も優れているように思う。

 一カ月ほどしたらまたノイズが出た。なぜか、すぐにおさっまたのだけど理由は判らない。仕方がないので出力回路付近を見直してみる。まずは、ローカットノイズに合わせて抵抗値を合わせるスライドスイッチを綿棒でふき取り掃除をすると意外に埃が付いている。次に最終段の真空管ソケットの裏側を綿棒で拭き、出力のカップリングコンデンサと抵抗の位置が密接なので位置をずらす。それから出力基板についているオイルコンデンサの脚が長くふらつきやすいので、接着性の防振ゴムでコンデンサを壁面に止める。最後に真空管を抜いてピンを綿棒で拭き、真っすぐに入れ込む。これで何とかならいかと願うばかりである。

 一ヶ月程過ぎたが、ピッタリとノイズが出なくなった。なんですが、再度よくよく調べてみるとフォノイコライザーのオイルコンデンサの脚の半田が芋になって外れそうなのでここも修正した。

 紆余曲折しましたが、結局のところ部材の半田不良で接点不良になり、ちょっとした振動でチャタリングが起こって盛大なノイズが出るということでした。

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