ヴァイオリニスト庄司紗矢香を聴く

 1999年にパガニーニ国際ヴァイオリンコンクールで優勝したのですが、当時16歳という史上最年少。その翌年の2000年にこのCDをリリースしているので17歳の少女が弾いているのだけど説明がなければそんなに若いなんて思わないほど安定感のある綺麗なヴァイオリンを奏でている。パガニーニと言えば天才ヴァイオリニストでやたら難しいテクニックをいとも簡単に弾くことで有名でそれを披露するために作曲したようなものだから、高度なテクニックを要求されるのだろうけど、すんなりと滑らかに乱れるような欠片もなく精錬されたうちに終わり、なんだか清らかになった気分である。

 指揮者はズービン・メータでこれまた綺麗な音で録音状態も良く、ヴァイオリン・ソロの音色が鮮やかに浮かび上がるような演奏で、イスラエルフィルとのコンビは一心同体のように思え、可憐さが残る彼女をそっと抱きかかえるかのように端正な音色である。

サンタナのスーパーナチュラルを聴く

 1990年にリリースされた18枚目のアルバムで3,000万枚以上のセールスを記録した大ヒット作である。多彩なゲストを迎えてヒップポップなサウンドを交えリズミカルでノリの良い仕上がりになっている。それまでもラテン・ロックだたけど、ノリの良さには欠けていたように思う。どこかちょっとブルージーで陰な部分がギターのメッサブギー音と同調してたけど、これはポップだ。

 普通に聴くとまず音量の大きさに驚く、そしてベースの低音が力強くリズムを切るのに驚き、ヒップポップなヴォーカルが楽しませてくれる。女性ヴォーカルのローリン・ヒルの歌声がこのアルバムに良く似合っている。ギターサウンドとしては最後の収録曲、ザ・コーリングが聴きどころでクラプトンとサンタナのギターが唸っていて左がサンタナで右がクラプトンだと思う。クラプトンの弾いている時間がもうちょっとあったらとおもうのだけれど、クリアなハイトーンが聴ける。イヤフォンもいいけど、ちょっと大きめのスピーカーで聴けたら空気の揺らぎが味わえると思う。


エレキギターの名曲、サンタナの哀愁のヨーロッパを聴く

 カルロス・サンタナはラテンロックとして有名だけど、拙者の好きな曲はちっともラテンっぽくない曲ばかり、最初にブラックマジックウーマンを聞いた時はブッタマゲタ。この曲はサンタナのオリジナルではなくピーター・グリーンという英国のギタリストの作曲で、この方はあのフリードウッドマックの創設者なのだが、スティービー・ニックスが参加してからのウッドマックしか知らない。

 さて、このアミーゴというアルバムは7作目にあたり、1976年にリリースされ、レコードカバーの絵を横尾忠則さんが描いて話題になった。ちなみに横尾忠則さんは日本が産んだスーパーイラストレーターだ。このアルバムを今でもたまに聴くのは哀愁のヨーロッパというギターがフューチャーされたインストルメント曲があるからだ。官能的でスローに響くギター音は透き通るように伸びあがりながらもどこか唸りが混ざりあい何とも言えない心地よさで、これはやっぱりメサブギーのアンプで真空管が揺れるせいなんだろうか、いずれにしてもテキーラをあおりながら聴きたいもんだ。

梅雨空に向かって咲く赤い中木の花

 実に花の種類は多くて見る花見る花どれも名前がわからなくて困る。携帯のカメラをかざしたら花の名がわかるアプリがあるといいなぁ。グーグルの画像検索をすると出てきたのはオランダシャクヤクなんですが、花の形が違うように見える。花だけを見ると夏つばきなのかしらとおもうのだけれど、葉っぱが明らかに違うのだから困ってしまう。

 他の木と群生しているから、どれが該当する花なのかもわかりにくいですね。でも、どんよりした空に向かってすぅーっと伸びて気高く赤く咲く花をみると、ちょっとがんばろうかなと思えるところが実にいいです。梅雨時はアジサイの花ばかりが目立つけど、赤い花の重さで枝がしなる姿もあるんですね。

Rogers LS3/5aのセッティングを変える

 Rogers LS3/5aの音がなぜか左に寄ってきたのは、YAMAHA A2000が古くなり電解コンデンサかパワートランジスタが劣化しているかと思っていた。そこで、300Bシングルの真空管アンプであるTU-8600Rにパワーアンプを変更した。音の切れはすこぶる良くなり、楽器の音粒が綺麗に見える。しかも、定位までが数段良くなったのには特に驚いた。A2000は既に30年選手なのだから、やはりメンテナンスをしなければならないのだと思う。300Bに替えて、こんなに高音域がキラキラと輝くものだと感銘していたのだが、よくよく冷静になって聴いてみると、若干ではあるもののやはり微かに左へ寄る。当然、録音状態にも拠るのだけど、TANNOY Precision6.2LEではヴォーカルがきっちりとセンターに輪郭される録音でも左へ微かに寄っている。ひょっとして、TU-8600Rはキットなので、半田付けが悪かったのかと思うけど、熱にとても弱そうなICは無いようだし、右側から出るレコードのスクラッチノイズを聴く限りではアンプの問題ではないように思える。


 そこで以前から気になっていたのは、Rogers LS3/5aの高さが左右で違うのだ。狭い部屋に置いてあるので、左側はターンテーブルの置台の上にあり、右側はカミさんの鏡台の袖の上にある。このため、左側が40~50㎜ほど低いのである。それから置いてある土台も違うので本来なら強固なベースにしたいのだけど、とてもカミさんに言えない。鏡台のスペースが他に使えたらバランスがよくなるのだけど無理っぽい。それはさておき、このスピーカーはウーハーより低い位置で聴いた方が、低音が出てウェルバランスになり、低い位置で聴くと微かに左へ寄っていることに気づく。家に余っているレンガを広告紙と黒いガムテープで巻き、左側のスピーカーの下に入れてみる。レンガとスピーカーの間には3mmほどのゴム板を3点に挟んでおく。そして試聴するが、なんとなく良くなったようでなっていない。スピーカーの向きをあれこれ変えてみるがピタリと収まらない。右側の鏡台の袖は抽斗になっていることに気づいた。抽斗の空間に音が響いて吸収されているように思える。Rogers LS3/5aはブックシェルフなので、反力をしっかり受け止める土台でないと音が弱くなってしまう。たまにしか聴かなかったので、こんなものかとのほほんとしていたのがいけない。そこで、右側のスピーカーの下に5mmほどの固いハードボードを入れ、3㎜のゴム板を3点に挟んでセットした。たった5mmのハードボードでも効果は高いもので、センターにヴォーカルが収まった。
 アンプを替えてRogers LS3/5aの能力の高さを改めて感じた。それと相性はあるもので、アキュフェーズE-470で鳴らした時よりもTU-8600Rの方が鮮明で繊細なニュアンスが出ている。


ミルシティンの弾くヴァイオリン・ソロを聴く

 J.S.Bachの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータのCDを購入した。これはヴァイオリンの奏でる音色を聴くためにSonus Faber FM2なる旧いスピーカーを買ってしまった連鎖からである。なにせ国から使うための給付金を頂いたのでありがたく使ってしまった。ヴァイオリンの音源はあるのだけど、協奏曲ばかりなのでソロの音楽をと思い、買って聴いてみてビックリ。知らないとは恐ろしいもので、どう聴いても二人いるとしか思えない。やたらに重奏音が多くてしまいには通奏低音のような伴奏にメロディラインが流れてくる。2弦は同時に弓に当たるのだろうけど、こんな風に弾けるのが不思議でならない。ミルシティンが有名だったので買ったけど、なるほど名盤である。

 ソナタとパルティータの違いがそもそも判らないけど、パルティータは変奏曲の意味合いが強いもののようだ。でも、ソナタが3曲、パルティータが3曲あって交互に出てくる。だから全曲聴こうと思うと100分ほどかかるので、2枚組のCDになっていて、大抵は1枚聴いたところで十二分に堪能できる。Sonus Faber FM2が奏でるヴァイオリンは見事であり、弓と弦の擦り方がうねりになって届き、ああーヴァイオリンってこんな音がするんだと更に驚いて聴いてしまう。ミルシティンはこの曲を2回録音しているようで、これは2回目の1973年69歳の時の録音だそうで、とても69歳には思えない。重厚でしっかりとした技術に裏付けられ、研鑽してきた者のみが放つ芸術の香りが部屋に漂う。

ドゥービー・ブラザーズを聴く

ドゥービー天国
 ドゥービー・ブラザーズはメンバーの入れ替わりが結構あって、変遷の多いバンドですが、大きく分けるとマイケル・マクドナルドの入る前と入った後で音楽スタイルがかなり変わっています。後期のマイケル・マクドナルドのいた方がポップでヒット曲が多いのですが、持っているLPは前期のツイン・ドラムスの2枚です。前期の方が南部のアメリカンな泥臭さがあって好みです。

 セカンドアルバムのListen to the musicでヒット曲を飛ばした後、この4枚目のドゥービー天国からBlack waterが初の全米1位となり、有名なバンドになりました。このころはファンキーなサウンドあり、アコースティックありとバラエティに富みながらリズムが跳ねる楽しい楽曲が多いように思え、ライブは楽しかっただろうなと思ってしまう。

スタンピート
 このアルバムはドゥービー天国に続く5枚目で、全米4位となりゴールドディスクをもらうヒット作となった。元スティーリー・ダンのジェフ・バクスターが加わって3人のギターサウンドなり、賑やかしさが加速された。しかし、スティーリー・ダンと言えば緻密なサウンドでライブはやらないグループだったから、ジェフ・バクスターの加入は意外でした。

 アルバムジャケットは原っぱを馬に乗って駆けるカウボーイさながらの写真ですが、音も負けず劣らず原野を疾走するサウンドで前期の集大成のように思えます。とにかくツイン・ドラムとトリプル・ギターの厚みのある音がシンプルに展開するからリズムに身を任せればよい単純さが心地良い。やっぱりロックはこういったシンプルさが大事だと思う。

MIL規格のシールド線でRCAケーブルを作る

 MIL規格品:MIL-W-16878/4(Type E)という米国製の2芯テフロン・シールド線、20AWG 芯線:黒・白、外皮:白色。20AWGなので割と細い線だから、18AWGにしようかと思ったけど、そちらはBelden #83321となり、とっても高いから諦めた。ちなみに#83321はMouserで100フィート:¥97,662だから、1m当り3,200円もする。今回買った20AWGも銀メッキだけど価格は、BELDEN88760より僅かに安いので試してみることにした。

 RCAプラグはSwitchcraftだ。いつもはNeutrikのREANで安価な方を使うのだけど、購入先になかったのと一度は有名なSwitchcraftを使ってみたかったからだ。Neutrikは本社がリヒテンシュタインでSwitchcraftは米国だけど、生産国は?です。MIL-W-16878/4(Type E)はBELDEN88760と同様に固い線で外径が4㎜ぐらいだから、よく似ている。
 外皮を向くときに気を付けないとシールド線が細くて一緒に切断してしまうので注意が必要だ。RCAプラグに予備半田をするのだけど今回は白光の温度設定できる半田ゴテを新調した。あまりにも半田付けが下手になっているので、BC/C型のコテ先も買った。
 それから半田も在庫がなくなったのでKester48を探した。これは無鉛半田で濡れ性も良く、SN 錫 96.5. AG 銀 03. CU 銅 0.5の成分だ。同じKester48でも銀の入っていないタイプもあるので成分を確認した方が良いようだ。

 RCAケーブルの製作に慣れたのか道具がよかったのか分からないけど、以前よりはスムーズに作ることができた。シールド線は半田付けを行わず、プラグのカシメ部分に巻き込んである。Kester48の半田付けも無鉛半田なので溶融温度が高く思うけど温度が上がればスウーっと馴染んでくれて、Kester44の銀入りと同じように使える。テスターで導通チェックすると短絡もなく合格したので、音出しをしてみた。

 McIntosh C22と同じ回路のフォノイコライザーからアキュフェーズE-470に接続してみる。Switccraftのプラグは先が割れていてコレクトチャックのようにRCAメスコネクタに噛んでくれて嵌った感触が気持ちよく、ちょっと高いだけのことはある。プラグのカバーが黒色なのでプラスチックかと思っていたら、真鍮製で塗装してあり質感もよい。
 BELDEN88760と同様な音色で帯域が広く感じとてもクリアに鳴っている。そして、中高音がより鮮明な感じを受ける。そのせいか、相対的に低音が控えめに聴こえる。
 キャノンボールのアルトサックスが明朗に吹き抜け、一音のなかにも吹く力の微妙な差が伝わり、コルトレーンのテナーサックスもこれまた揺らぐように押し寄せてくる。ケーブルの種類が増えて機器の特徴ごとに愉しめそうだ。

城 を読んでみた フランツ・カフカ著

 随分と旧い本を読み返しているけれど、その隙間が30年という空間であり、思い気づくものはその間に蓄積された自身の人生だったかも知れないのだけれど、受ける全体の印象に変わりはない。何ゆえにこれほどに漫然としているのだろうか。変身や審判にあったような風変わりな不安は感じないけれど、どこまでも変化する砂を想い起してしまう。砂で覚えがあるのはカミュと阿部公房であるけれど、同じ酒の薫りがする。
 城は観えるようで届くことができない管理の場所のようだから、権力の中枢なのだろうかと思える。そうであればもっとサスペンスのように描いてくれたら読むスピードも速くなるだろうにと思うのだけど、組織の中心は空であり、ドラマチックな展開の中にあるのではなく傍らあることを画いてあるのだろうけど、機械に針がついていて圧死させる『流刑地にて』のようにスリルが備わっていた方がやっぱり読む易く思う。でも、読む易くしては城の本題から離れるのだろう。

 書かれた順番から診れば、審判の続編にあたるのだろう。不思議なのは、Kはいつでもモテるのだ。そこだけが奇妙に懸け離れた話に見えてくるし、論理的な考え方においても事実認識が違うかのように感じる点がままある。どのような話にも空想のようなおとぎ話なような部分はあるけれど、人の考えとして長々と描写されている点は特別だ。グローバルな世界になり、文化の違いを感じられる時代であるほど、育まれた環境や文化が物事を捉える構成力を持っているかに気づかされるけど、城の世界は奇異ではあるが身近でもある。この特異点が漫然とさせるように思える。だから、生きていればそれで良いのだと思うのだけれど、人はパンのみにて生きるにあらずという言葉もある。しかし、城には神はおらずひたすらに生きるのみである。

LHH300のオペアンプをOP42とMUSES03に替えてみた

 LHH300も出た当時に購入して30年になる。でも、よく聴くようになったのは最近で、クラシックを聴くようになりレコード盤がなくCDならある録音を購入するようになったためだ。まさかレコードよりCDの方が安くなるとは思わなかった。レコードはスクラッチノイズなど傷みやすいけどCDは中古でも問題のあるものは少ないから中古で安く良いものが買える。LHH300の音質は穏やかで何の変哲もないから、Belden88760にケーブルに替えて良くなったものの物足りない。そこでオペアンプをいよいよ替えてみることにした。そこでどのオペアンプにするのか随分と思案した結果、アナログデバイセズのOP42とJRCのMUSES03Dを選択した。どちらも有名な高性能オペアンプでスルーレートが際立っているのが特徴だ。他にもいろいろあるけれど、高速オペアンプは発振しやすいみたいなので記事を読む限り発振しなさそうな物を選んだつもりだ。しかも、MUSES03は偽物が出回っているとのことなので正規販売店の秋月電子から買うのだけど、なんと品切れをしている。高価な部品なのに人気が高いようで、高級なCDデッキを買うことを思えば安価なんでしょうね。LHH300はJRC5534Dが4個ついているので、OP42MUSES03Dを2個ずつ買って組み合わせることにした。






 LHH300を開けると、緑色の基板はデジタル処理関係でアナログ関係は茶色のベークライト基板だ。DACからきているコネクタに近い方が前段で出力端子に近い方が後段のようだ。ついているJRC5534Dも含めて前段、後段を組合わせて音質を確かめてみようと思う。LHH300はアルミダイカストのシャーシーに基板がついており、取り外しもしやすくて助かる。基板を外して裏のランドを見ると小さくて半田の量も少ないので吸い取りが難しそうだ。こういう時は先に半田を盛ってから吸い取るのが良いと記事にあったので、そのように対応してみると案外と楽に取り外すことができ感謝である。黒い電解コンデンサが5つあり、その内3つはブラックゲートだ。ESRテスターを買ったのでコンデンサの残量を調べてみると1割程度しか減っていないようなので良しとする。温度が上がらないし使用時間が短いせいだと思うけど、メーカーの資料には15年が目途のように書いてあるから問題はあるのだろうけど。丸ピンのICソケットを方向に注意して嵌め込み半田付け、今回はDAYTON AUDIOの少し安い銀入り半田を使う。Iphoneのカメラで拡大して半田がブリッジしていないか確認して、オペアンプの向きをICソケットの方向にあわせて載せる。今回は問題なく音が左右から出てほっと胸をなでおろす。



★前段:OP42  後段:JRC5534D

 出てきた音は聴きなれた音でおとなしく変わり映えがしない。そんなものなかと思いながら暫く聴いていると、リヒテルのピアノが落ち着いてきて右手の高い音の響きが僅かに鮮明になり、輪郭が出てくるようになった。でも、もっと高い音は相変わらずキンキンして心地よくない。ヒラリー・ハーンのヴァイオリンは高音域の伸びやかな若さが出てきた。そして何よりも曇ったようなオーケストラの音に締りが出てきて薄日が差したかのように思う。



★前段:MUSES03D  後段:OP42
 一聴して音が緻密になっているのが解かる。どの音域でも響きが増してリヒテルのピアノのタッチ感が滲み出てくる。もっとも高い音の鍵盤はキンキンせず、すぅーっと減衰して心地よい。音の緻密さが音楽の滑らかさとエネルギー感を合わせて拡がる。ヒラリー・ハーンの弦が滑らかに透き通るように鳴りだし、オーケストラの音が分離され晴れ間が見えるようになった。奥で籠っていたオーケストラと一人ヴァイオリンが鳴っていた距離感が縮まり、音場が見えるようになった。MUSES03Dの繊細さが緻密な音になって現れ、4Kテレビの鮮明な画像に変わるかのようだ。そして、緻密だからこそエネルギー感も出てくるように思われる。



★前段:OP42  後段:MUSES03D
 基本的に入替前と同じテイストだけれども、リヒテルの鍵盤を叩く音が僅かに優しい。もっとガシガシと弾く演奏のように思っていたけど、力強いの中にも優しさが覗くようになったと聴こえる。低音域の音が響き、減衰が僅かに遅くなったせいなのだろうか。ヒラリー・ハーンのヴァイオリンに若さだけではなく優雅さも身にまとったように聴こえ、とても心持がよい。オイストラフやフリッツ・クライスラーの弦もいいけど、若さ溢れる弦に惹かれる。



 前段にMUSES03Dを入れた方が明るくて鮮明なように思えるのは、MUSES03Dの解像度がOP42より高いのだろうか。でも、前段にOP42が来た方が一音一音の分離度が高いまま少し落ち着いた音になり音楽的なように聴こえる。当分は前段にOP42、後段にMUSES03Dを入れて聴こうと思う。DACは古いけれどもDSD128を聴くわけでもないのだから、デジタル部分での差は少ないようで、オペアンプがどこまで表現しきれるかがポイントのように思われる。
 CDを買って余りにもガッカリしたスプリングスティーンの『闇に吠える街』を久しぶりに聴いてみた。このアルバムはスプリングスティーンのもっともエネルギッシュなころの一枚でレコードを何回も聴いたけど、借り物だったので返した時にCDを買って聴いたら、エネルギー感の無さにお蔵入りした。聴き直して久しぶりに躍動したけれど、やっぱり何か足りない。アダムとケインのシャウトするところや、キャンディーズルームの高音域のギターがチョーキングする部分などなど突き抜けるところが足りないように思える。エッヂの立ったところを1rほどの面取りをしたような感じで、高額なCDデッキを聴いても思うところだ。思い込みでCDは破綻せずまとまりが良いと潜在意識がはたらいているのでしょうか。でも、少々お高いとは言え、4つで7,000円もしないオペアンプの交換でここまでグレードが上がれば実に愉しい。


 一ヶ月ほどたったのだろうか、布団にくるまってリヒテルのショスタコーヴィッチを聴いていたら、とても響きの良いピアノの音に機材を顧みてしまった。スピーカーはLS3/5aでプリアンプはE-470、パワーアンプが真空管B300TU8600Rである。ソフトドームのツイーターだから出る柔らかくて凛として響くピアノの高い音に低音の伴奏がおおらかにくるんでくる。夜更けの静けさがSN比を向上させているのだろうか、MUSES03の細やかさが突然目覚めたかのようだ。リヒテルの弾いている匂いが漂ってくるかのように思えるほど綺麗な音である。




OP42 JRC5534

MUSES03 OP42

OP42 MUSES03

ロックバンド レッド・ツェッペリンを聴く

 ビートルズのアビーロードを抜いて全英ヒットチャートアルバム1位になったのがセカンドアルバムLED ZEPPELINⅡである。ロック史上燦然と輝くアルバム『アビーロード』にとって代わるのだが、これもまた名盤の中の名盤であると思う。メロディラインの綺麗なビートルズからハードロックと呼ばれる時代への変節点であり、大音量とともにエネルギーが溢れかえっていた中に若者として拙者も宝物のようにロックを聴いていた時代である。


 メンバーは4人で誰もが稀有な存在だったため、ドラマーのジョン・ボーナムが急逝したため解散してしまった。未だに続きを聴きたかったのは拙者だけではないだろう。ベースのジョン・ポール・ジョーンズと創り出すグルーヴ感はとても心地良いし、ジミー・ペイジの弾くギターラインに合わせてリズムをうねらす一体となったサウンドは他ではマネができない。ロック・ドラマーとして最高の呼び名が高いもう一人のドラマーであるキース・ムーンとは親友であり、当初のドラマー候補だったことは面白い。ドラマーで好きなのは、ジョン・ボーナム、ジェフ・ポーカロ、スティーブ・ガッド、トニー・ウィリアムス、チャーリー・ワッツかなと思う。
 ファーストアルバムの1曲目Good Times Bad Timesを聴いた瞬間に虜になり、ロバート・プラントの高い歌声が脳天をぶち抜かれたことが蘇る。そしてこの2枚目はよりハードな音の展開でエネルギッシュなまま1枚があっというまに終わってしまう。作曲的には他者の歌詞やメロディラインを意図的に嵌め込んであるため、いろいろと物議をかもしたようだが、名盤であることは疑いようのないことだと思う。

 レッド・ツェッペリンで所有していなかった唯一のアルバムはサードだけで、移民の歌が有名な曲だ。これは発売当初、アコースティックな編成になっていてハードロック路線から外れたと言われたことと移民の歌のリフレインがやっぱりセカンドの雰囲気と違うのがあって、ついに買わずじまいだった。
 随分と時間が経って、やっぱりツェッペリンファンとして欠落は淋しい限りと思い、リマスター盤のデジタル音源をHDtracsから買ったのだ。


 これが実に録音がいい!プラントの叫び声が彼方に響くかのようなエネルギッシュで感動ものだ。全曲を聴いてみると、どの辺りがアコースティック回帰などどいう論調になるのか不思議でならない。
 全曲エネルギッシュだし、ペイジのギターにボンゾのドラムが絡んできて、独特のグルーヴ感が堪らない。そしてこの曲調はフィジカルグラフティの前哨であることは明白だと思う。うーん買って良かった、今聴いても斬新だ。

道端で出会った5月中旬に咲く綺麗な花

歩道と車道の間に設けられた緩衝区域に綺麗な花が咲きほこっています。白、ピンク、紅と様々な色が鮮やかに5月の耀く日差しの中で乾燥したアスファルトに彩を添えているのです。一見するとペニチュアのように見えますが、道端に自然に生えている感じなのでどうなんでしょう。

 グーグルの画像検索にかけてみると、第一候補はフロリバンダが出てきましたが、これがバラのように花びらが幾重にもなっているので違うようです。画像の一部を切り取って再検索するとペニチュアが出てきました。たしかに花びらの形状は似ているのですが、葉っぱが違うようです。再度、画像の違う部分を切り取って検索してみるとcommon peony:オランダシャクヤクが出てきましたが、これも違うようです。どうもグーグルの画像検索は花の色の組合せが入ると、それが優先されるようです。本当に花の名を探すのは難しいですね、何か良い手はないものでしょうか。