ソナスファベール Sonus Faber Minima FM2 を手に入れてセッティングしてみた:レビュー

  SonusFaber Minima FM2をやっとこさ手に入れた。最初は初代アマトールが欲しかったのですが、状態と金額を考えるとかなり困難でしかも置く場所が凄くかぎられていて、スタンド付きがいいのだけど無理。なのでFM2も見てましたが、トゥイーターの凹んでるものが多くて価格もそこそこするから、ずっと思い悩んでました。
 弦と女性ヴォーカルの気持ちよい音が聴くためにいろいろと検索しYou Tubeでも音楽をきいているとやっぱりSonasFaberの初期がいいんです。最近の物でも良いのですが高すぎて大気圏を離れてしまい宇宙旅行は無理なようです。
 そんな感じで長らく待っていたら、あの逸品館で見つけました。本体の上部に少しキズがありますが、それ以外は綺麗でとくにサランネットが綻びもなく張り替えてあるようにも見えます。トゥイーターに凹みもなく実に綺麗な球面をしていて価格もそこそこ、ちょっと気になるのはトゥイーターを止めているビスが3本なのです。この手も出回っているのですが、4本の方が多く、どの時代の仕様なのか不明、ひょっとしたら純正ではあるものの逸品館スペシャルのバージョンアップ版なのかもしれません。


 梱包を開いて出してみると、ピカピカ光っていて美しい無垢のウッドキャビネットが美しい、工芸品と言われる所以です。
 こういったところはちゃんとした販売店で買うと安心丁寧で助かります。ウッドキャビネットをコンコンと小突いてみると鈍くて身の詰まった音がして、厚みのある頑丈さを感じます。サランネットに歪みは無くダボもしっかりしてるし、サランネットの上から止めてあるエンブレムもきちんとしています。
 トゥイーターは小さな凹みもなく、ウーハーも綺麗でエッジも問題ないようです。これは、ありがたい。それに本体の下部に突起上のゴム脚が付いていて、旧さを漂わせますが愛嬌がって好しいです。



 問題の音出しですがやっぱり最初は変な音がしてます。なんて言うのでしょうか、どの機材でもちょっとギクシャクするんですよね、1時間もすると肩慣らしも終わったようで、問題なくスムーズな音を聴かせてくれました。スピーカーケーブルはカナレの4S8Gがあるので、YAMAH A2000にバイワイヤリングで接続するのですが、4芯をそれぞれのターミナルに入れてアンプ側もスピーカー切替のAにウーハー、Bにトゥイーター側を接続しました。4芯の内2芯づつをまとめた方が良いようですが、配線だらけになるので嫌です。
 スピーカーケーブルは太い方が良いように言われていますが、実際には聴き手側の好みだと思います。アンプの中でスピーカー端子につながる配線はそれほど太くないし、プリとパワーやフォノイコとの接続と比べるとスピーカーケーブルでの違いは少ないように思えます。ケーブルで音は変わらないという意見もありますが、何かを変えれば音に変化が出やすいのは事実です。シンプルな方が良いとの意見もありますが、ライントンランスを使うこともあるので結局は好みの問題です。
 マッキントッシュのC40の蓋を開けるとICだらけでオペアンプもぎっしり入っていて、5バンドのイコライザーでセンターにするとダイレクトになり、トーンコントロールされない音がでますがイコライザーで調整した音と鮮度が変わりません。こういったところが高級品だと思います。A2000もダイレクトモードがあり、OFFにしてトーンコントロールを通すと僅かですが曇る音が付帯します。

 いろいろなソースを聴きましたが、評判通り女性ヴォーカルはうっとりします。ダイアナ・クラークの絡まるようなねっとりした歌声に艶がのり、ホーリー・コールのテネシー・ワルツ聴くと儚い夜の想いがMinimaから滲み出てくるようですし、ヘレン・メリルの"You'd Be So Nice to Come Home To"なんかも夜更けにスコッチでも呑みながら聴いたら痺れちゃいます。そして、カーメン・マクレエやエラ・フィッツジェラルドを聴くとこれに重みが出てきて甘い唄だけでなく風情が増します。

 もう一つの狙いだった弦の音ですが、ミルシテインのバッハ無伴奏ヴァイオリンを聴くと、2弦の弾きあう音がほどよく混ざって響くのが気持ちいいです。ハイフェッツェを聴くと音と音の切れがきつい部分が紡がれて綺麗につながるのが嬉しいです。
 それからヴァイオリン協奏曲を聴いていると、意外にもオーケストラの音もいいんです。音の分離に関しては今一つなんですが、ティンパニの打ち込み音やチューバの低音もしっかりでます。ちょっと誇張したような鳴り方になるのですが、Sonus Faberの音のまとめ方がうまいと想います。Jazzなんかでは、アルトサックスの余韻が味わいあるしバスドラムのキック音やベースの弾く音も刺激があっていいです。
 まぁ口径が小さいので当り前ですが、ピアノの最低音域は無理があります。これは、音というより振動なので音楽を聴くというよりは体感するという気がします。
Precision6.2LEでもボリュームを上げれば振動しますが、すぐにコテンパンにやっつけられます。(泣笑)



 MinimaLS3/5aのあった場所においたので、LS3/5aPrecision6.2LEの上に引っ越しました。このおかげでLS3/5aの位置が高くなり、ウーハーが耳より僅かにたかくなったので低音域が張り出し、高音域が少し引っ込んで良い塩梅です。もともと高めの位置の方が良い機種なので狙った通りです。それにPrecision6.2LEもかなり低い音域の骨格が僅かに明瞭となり、全体的に腰が落ち着きました。LS3/5aの重量が5kgほどあるのが利いているようで、Precision6.2LEには底に砂袋などを入れて重量を加算する仕組みがあります。

 LS3/5aの安定を図るために20㎜角で厚さ1㎜のゴムを四辺に入れて、地震対策のためにマジックベルトでPrecisionと一体化した。変化があれば音像も変わり面白いのだけど、Minima FM2を聴いていると、これに合うカートリッジが欲しくなるのには困ったもんだ。どういう音をカートリッジで拾ったらあうのかがボヤっとしてるのですが、こうやって考えている時間が結構楽しいですね。

カートリッジ聴き比べ

オーディオ組合せ2021バージョン

TANNOY スピーカー

Rogers LS3/5a スピーカー

五嶋みどりのヴァイオリンを聴く

ミルシティン:バッハ無伴奏ヴァイオリン


                                 Nathan Milstein 



                                Carmen McRae