イヤホンをJVC HA-FW01 に替えてみた

  使用していたイヤホンは2017年に購入したZERO AUDIOのZB-03で当時5,000円弱だったように思う。音楽をもっぱらスピーカーから聴くので現行品でも十分なのだが、夏の日はオーディオのある部屋が暑くて聴いていられず、Macから直挿しで聴くことが多かった。それならば、もう少し良いイヤホンを買ってみようと思った次第である。


 オーディオ好きは選び出すと困ったもので知らず知らずのうちに価格の高いものに引きずり込まれる。なにせ10万円を超す様なものが結構あり、BeyerdynamicのXELENTO REMOTEなんかが良さそうに見えて仕方がない。中古で買えそうな金額だと、どうも中国産の偽物がでまわっているようで買えそうにもない。なんとか手のだせそうな価格で絞ると、ゼンハイザーIE80s、JVCのFW1、FD02を候補に選んだ。ポタアンを持っていたらFinalのE5000を買ってたかもしれませんが、Macに直挿しでそこそこ鳴りそうな3機種で随分と悩んだ。そんな時に中古でFW01の質の良さそうな出物があり、タイトな低音がしっかりでそうだと言うことで買ってしまった。FW01は2017年の発売で好評を得て3年経ち、価格もこなれてきているし、今でも評価が高く木の振動版が有名である。候補にあがった3機種はどれもダイナミック型でBA型(バランスドアーマチュア)の無いのは、ドライバーが複数構成であったり、良い評価のものは高価だったりして発展途上のように思えたからです。スピーカーで聴くのが主体なのでFW01でも随分と高価で贅沢品ではあります。



 音質はMacの直挿しで聴いているせいか、思うほど低音が強い感じはせずバランスの取れた響きに聴こえます。ZB-03も低音は結構出ているので、相関的にそう思うのかも知れませんが、小型スピーカーのLS3/5aのバランスに似ている。ZB-03の方が膨らんだ音で、FW01は制動の効いた輪郭のある明瞭な音がします。現行の価格で10倍も違うのですから、当然と言えば当然なのですが感心させられる部分が多くある。クロストークが少ないからでしょうか、左右の分離がよく、各楽器の定位も優れていえて、スピーカーのテスト録音で左右にレコーダーが移動した時に映像が徐々に左へ寄る速度にあわせて音もきちんとゆるやかに動き、細やかな変動が表現できています。ZB-03だと音の輪郭がぼやけ左右の音も交るのですが、FW01は音の輪郭が鮮明だからこそ微妙な動きもわかるのだと思う。高音域の伸びが少し不足との話もありますが、アンプを使って低音が出ると相対的に不足を感じるのではと思えます。まあ、年をとってMP3 128Kbps 320Kbps (http://mp3ornot.com/)の聴き分けサイトで6-7割しか当たらないので老害なのかもしれませんが、カタログでは可聴域を大幅に超える50KHzまで出ていて、Mac直挿しでは高音域も骨格の整って綺麗です。



 オーケストラを聴くと各楽器の音が各々の場所で聴こえ、下手なスピーカーを買うより好く鳴るので困ってしまう。女性ヴォーカルはわずかに高域よりで余韻のある響きが聴こえ、オペラのソプラノを聴くと朗々とした唄声が心地良い。ジャズなんかでもウッドベースのうねりにアルトサックスのビバップが愉しめる。ちょっと苦手かなと思うのは、ビートの利いたアップテンポな音で、音と音の隙間ができにくくエッヂの利きが甘い、でもエレキギターのチョーキングした音は良いしディストーションも様になっている。これでアンプを使ったらどうなるんだろうといけない虫が湧いてくる。困った点は、イヤーパッドの種類が多くあるのに今一つ嵌め心地があわない。ケーブルは布巻で絡まず柔らかで使い易い、グランドも左右独立との事だけど、分岐点で1本になっているので2本のままにしてくれたら伝わりやすいのにと思うし、せっかくだから6Nを使って欲しかった。

 オーディオ関係の品物は金額との相関を考えると悩ましいもので、妥当性というものは存在しないように思う。それを踏まえても、HA-FW01はよく出来た超小型スピーカーだと思える。拙宅にはビクターのレコードプレーヤーが2台あり、現役でしっかり動いてくれるし、HVSを作ったのもビクターでJVCに技術力と音への拘りが伝導しているようで嬉しい。


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