ヘッドフォンHIFIMAN HE400se を買ってみた:レビュー

  平面型ドライバーってどんな音がするのだろうと気になっていた。でもHIFIMANの機種は高いのが多いので手が出なかったのですが、なんと16,500円の安価タイプが出て、タイムセールで20%引きになったので早速買ってみた。


 インピーダンス:32Ω、感度:91db、重量:385g、振動版全体に磁石が貼られている構造なので、ダイナミック型と比べても随分と違うのが分かります。振動版全体が均一に駆動されるので歪が大幅に減少するのだそうです。そうは言っても歪がわかるような商品ってないし、機種の味付けというか素性みたいなもんが音への影響を大きく占めているような気もします。
 振動版に対して随分な面積を磁石が覆うので、音が上手く響くのかと疑問に思うのですが、ステルスマグネットと呼ぶ技術で干渉を発生させることなく音波を自由に通すのだそうです。





 本体が届きましたが驚いたことに中華のラベルが貼られている梱包が届き、出荷は国内のはずなんだけどと思いながら良く見てみたら、HIFIMANの文字があって中国産なんだと理解しました。中国の工場から日本へ輸出した梱包そのまんまが届いたわけです。もう見た目がプアで大丈夫かと思いましたが、開いたら綺麗な梱包が出てきました。なかなかシンプルでEF400と同じテーストの交換の持てるデザインです。
 ちょっと固めのクッション材がヘッドフォンの形状に成形されていて、その中にすっぽりとHE400seが見えます。取り出してみると随分と大きいです、これは平面振動版が大きくなるせいだと思います。丸い形状部分はDT1990proと比べて一回り大きく存在感があり、重そうにみえるのですが軽い部類です。




 ヘッドフォンケーブルは柔らかい素材で癖は付かず、使いやすく長さが通常のイヤフォンケーブルと同じくらいですから、1.2mくらいだと思います。ヘッドフォン側は3.5mm TRS端子でステレオミニプラグと同じ形状のものです。アンプ側の接続は6.5mm ヘッドフォンジャックが付いているのですが、じつはアダプターで引き抜くと3.5mmが付いています。LRの見分けがしづらいケーブルなので、L側に白いビニタイを巻き付けました。
 装着してみると、耳への圧迫感は無く締め付けが弱いです。もっとも僕は小さい頭のせいかもしれませんが、ヘッドバンドが重みを支えている感じがよく分かります。緩く感じるからと言っても密閉はしっかり保たれていて、セルの眼鏡をしたままでも苦にならず軽いところが気に入りました。DT1990proだと眼鏡を外して音楽を聴くので他のことはできずBGM的には使えず、そこはありがたいです。


 さて音質ですが、一聴して緩やかな感じで刺激的な部分はありません。だからと言ってつまらないと言うことは無く、モニター的な楽器を分離して細かく聴く方向ではなく、音の重なりをゆったりと心地よく聴くという感じです。ハイレゾの音を聴くよりCD音源のものを聴く方が好きです。CDは録音状態も含めて多種多用なわけで、よい録音はよい録音なりに鳴り、悪い録音でもそれなりに聴けるので、BGMライクな使用には重宝します。とくにこの時期FINALのA5000のエージングのために聴き続ける状態だったので、HE400seを聴くとなんだかほっとするのでした。だからと言ってA5000が聴きづらいということではありません、これは謳い文句どおりに3次元空間の再生という感じで定位間隔が凄くて長時間聴くと緊張で少し疲れます。とても特徴的なイヤフォンです。

 HE400seを聴いて思うのは、これが平面ドライバーだと言うような特徴ある鳴り方を感じることは無く、どこまでも音楽の楽しさを生活の中で味わおうという鳴り方です。低音域は箱鳴りするような少し膨らむ傾向で、高音域は厚みがあって中音域がしっかりしている感じに聴こえます。

 アンプをオペアンプのシャープなものにするとタイト感が少し出てきて、リズムセクションの強い音楽などはノリも出てきます。アンプを変えればアンプの性格が出やすいところは面白いです。
 よくこの価格で作ったよねと感心する商品です。