Ortofon MC30 T30:レビュー

 オルトフォンと言えばSPUがレコードの音を拾う装置として開発され、Stereo Pic Upの頭文字からSPUと名がついた理由ですが、シェルと一体で重量が重く世の中は軽量化の方向へと流れ始めた時代にそって出したのがMC30というカートリッジです。今でもSPUは絶大な支持を得ているわけですが、MC30も新しい時代を切り開いた先駆者であり、この後にMC20、MC10の系譜が続くわけで、そうなるとやっぱり聴きたくなるのは心情というものでしょう。

 高音域は繊細でエレガントですが、決して絹糸のように細いわけでなくオーケストラの楽器をつぶさに表現しており、伸び伸びした感じを受けます。そして中音は全体を押し出すように響き、低音は締まっていてくっきりしている雰囲気が醸し出されています。絵画でいうとフェルメールを思い出してしまいます。かと言ってそこまで精密描画かと考えるともう少し陰影があるようにも思えます。昼下がりにダージリンを飲みながら、穏やかに彩りを楽しみながらクラシックを聴くにはうってつけですね。【MC30 Manual】
 オルトフォンのピックアップを鳴らすのにヤマハA2000のMCヘッドアンプでもいいのですが、でもやっぱりオルトフォンの狙った音像が聴いて診たくて昇圧トランスT-30を合わせています。またフォノイコはMcIntoshのC40を通しています。C40はCDが席巻し始めた頃のなので、フォノイコはMMの1チャンネルしかないのです。

 この昇圧トランスT-30のいいところは、PassがついていてMMカートリッジも接続を変えずに使える。しかも、昇圧も3Ω、6Ω、12Ω、24Ω、48Ωと整数倍にこまめに切り替えられる点です。当然カートリッジの出力電圧に応じてゲインを変えて出る電圧を同じぐらいにすることはわかるけど、音質の変化があるのか試してみたくなります。それから、切り替えのノブを回すと中のトランスが回転するようで、ロータリースイッチではないため結構重いんです。回していると壊れるんじゃないかと心配になってきます。
 そこで、MC30のまま3Ωと12Ωで聴いてみました。出る音量の変化はボリュームで調整してあります。結果から言うと似たようなもんですが、3Ωの方が芯が出るような気がします。まあ、MC30が3Ωだからそう思ってしまうのかもしれませんね。
 サンプリングはマーラーの第3番です。交響曲で聴いていて楽しいのはマーラーでしょうか、理由は単純に左右のスピーカーから偏らずに音がでるからです。もっとも指揮者によって楽器の配置が変わるので、バーンスタインの影響の方が強いのでしょうかね。
【T-30 manual】