パリ・タジミという名のケーキ

 ケーキの名に芸術の都の大都市と日本で最高気温を記録した市の名前が冠してあるちょっと不思議なケーキを食べてみた。なぜこの名前なのかと言うと、シェ・シバタというパティシエのケーキで、出身が多治見市でパリに修行しお店も出しているからだと思う。
 リング状のパイ生地が上下2段あり、その間に抹茶クリームとベリークリームが柱になっている。そしてリングのセンターにある球もパイ生地で抹茶クリームが詰まっている。この抹茶味がすこぶる濃くてベリーは監禁される。

 ハーゲンダッツの抹茶アイスより濃いから、コーヒーは濃い目でないと歯が立たない。でも、抹茶好きな人には堪らないほど苦味でその後にドワーンと甘さが押し寄せてくる。ちょっとケーキとは思えんぐらい個性的な味わいで面白い。その抹茶の味を覗きながらナッツがカシッと歯ごたえがあってナッツの味がする。一見マカダミアナッツかと思ったけど、ヘーゼルナッツだと思う。これがまた、美味い。パイ生地は甘いかと思ったけど甘くない、こんがりとしたトーストの表面のような味わいで濃い目の抹茶に寄り添っている。フォークでパイ生地を切り崩して食べるのにちょっと苦労する。できたら手で持ってハンバーグのようにパクっとかぶりつきたくなるし、そうしてもいいのではないかと思うように豪快な味わいを堪能できる。ケーキを食べて久しぶりに食べたぞと言う満足感を得られた。いや実に愉しいケーキである。