回路を見るとキット基板はMC対応になっているが、本気はMMのみの対応のため、MC回路に部品が取り付けてありません。MCに関してはトランスが入るので無くてOKです。あと、B電源の整流化回路が半波整流回路(倍電圧半波整流回路と思われる)から、東栄変成器トランスのセンタータップを使った両波整流回路に変更されている。電解コンデンサーはドイツのROE社でカップリングコンデンサーにブラックビューティー、ブラックキャット、NFB回路のコンデンサーはマイカ(だと思う)で配線はモガミを使い、半田付けを見ると趣味でアンプを自作している手練れた人の作品だと思う。真空管は3本あるけれど、L側に1本、R側に1本で第1段と第2段は同じ真空管を使う構成で松下製がついている。第3段はJJ-Electronicでスロバキア共和国の会社です。そのうちにムラードの球を付けてみたいのだが、LRで各一本だから揃ったやつを買わないとバランスが崩れるのだろうか。
ずっとトランジスタばかり使ってきたので真空管の使い方を今一分かっていませんが、瀬川さんの書かれたオーディオABCを思い出して使う。レコードに針を降ろして出てきた音は想像していたものと随分違う。真空管ってほんわりと暖かでまろやかだと勝手に思ってましたが、音像が明瞭で明るくて伸びがあります。ヤマハA2000のトランジスタEQと比べても音の立ち上がり立下りの速さは変わりません。高音域の伸びはA2000の方が好きですが、中高音域の艶っぽさはマランツタイプEQの方が好きです。フォノイコライザーだけでも随分と音が違って面白いし、ピックアップやトランスの組合せでも変わるので愉しみが増えて悦ばしい。マランツ#7の音を聞いたことがないので、この音が近いのかどうかも分かりませんが、ジャンルを問わず味のある音楽を聴けます。ジャズヴォーカルのキャロル・スローン4を聴くとベースの低音がズーンと響き、ちょっとハスキーで艶のある声量が聴こえてきます。マイクがセンターの少し高い位置にあり、口の開きや呼吸がリアルに浮かんでくる。目を閉じてロックグラスがあればラ・ラ・ランドのSeb’sになれるだろう。