西遊記 呉承恩 著

 何十年ぶりだろうか、西遊記を読んだ。もっとも子供ころに読んだ孫悟空は話が短かったように思う。これは、上下巻で合わせて1,200ぺーじにもおよび底本を忠実に再現された本で装丁も大変に丁寧だ。福音館書店の古典童話シリーズの中の1冊である。このシリーズは42件の童話がラインナップされているそうだが、7割ぐらい本棚にあるのだろうか、ちなみに僕が買ったわけではない。うーん、上の子は読んでいると思うけど下の子は怪しい、折角なので僕も読んでいるのだ。

 僕は子供の頃は伝記ものばかり読んでいて、いわゆる名作の類で読んだのは、トムソーヤの冒険、西遊記、海底2万海里ぐらいのものだ。なので、いろいろと読んで楽しんでいる。特に三銃士なんかは童話というよりは、大衆のスペクタル文学の教本みたいなもので何回も映画になったのが頷ける。でも、映画を観てあんまり面白いとは思ってなかった。これは本の方が圧倒的に面白い。いずれもが名作であるのは読んでみると良くわかり、ロックを聴きながらだと実に愉しい。

 また、このシリーズはどれも挿絵が素晴らしく、ちょっと一息いれたい時に出てきてくれて、文字間から映像が飛び出てきてくれる。挿絵を観ているだけでも楽しめる本なのだ。西遊記は百篇の物語でくくられていて、お釈迦様と孫悟空が勝負する場面でキントン雲に乗り十万八千里を一飛びした孫悟空がションベンを引っ掛けるのは良く覚えているけど、これが出てくるのが上巻の半分くらいのところだったなんて覚えはなく、子供の覚えでは数ページでその場面だったように思う。あー僕にもキントン雲が欲しい。なので、オーディオを聞いてドアを開けることにしよう。音像よ、開け-胡麻!