レコードに針を落として音出しをすると評判通りに腰が低くなり、全体的に落ち着いた感じになった。真空管が暖まると音色の艶が出てきてベースの弦をはじく音が心地よい。でも、初段につけるとあまりにも優しくて元気さが物足りない。東芝の音に慣れているのでペギー・リーの唄声までもが穏やかになるのは淋しい。どうしたものかと思案しているうちに、Chriskitの接続はTAPE Outとプリ出力の2系統でアキュフェーズE-470に繋がっている。そうであれば、フォノイコライザー部は東芝HiFiで固め、フラットアンプ部にMullardを付けてみればセレクターの切替で2種類の音が愉しめるのではないかと思い、フラットアンプ部の最終段に入れ替えた。フラットアンプ部の前2段は12AU7でテレフンケンがついている。Mullardに買えた時、スピーカーに近寄ってみると僅かにサーっと言うホワイトノイズが出ている。どうもマイクロフォニックノイズのようだ。東芝HiFiではしなかったので日本製はやっぱり良い。
真空管の呼び名は同じものでも規格によって変わるのでややこしい。ヨーロッパ規格だと増幅度の高いプリ管(ミニチュア管とも呼ばれる)はECC83、アメリカ規格だと12AX7、ヨーロッパ軍用規格だとCV4004、これにECC803Sというローノイズ管もあり、こだわる方にとっては愉しみのようだ。そこへ持ってきてブランドや生産年によっても音質がことなるようなので手に負えない。テレフンケンやMullardなんかもニセ物があるようで、この管が本物であることを祈るばかりだが、音楽を聴いて愉しめればそれで良いのだ。