雪中梅という日本酒の香り

 雪中梅は丸山酒造という新潟の酒蔵が作るお酒です。新潟・日本酒・梅とくれば越の三梅といって新潟県の3大銘酒を指し、越乃寒梅、峰乃白梅、そして雪中梅なのです。この中で峰乃白梅だけは呑んでおらず、いつかは呑んでみたいと思っている。随分とむかしに地酒ブームを起こした3本だったように記憶されてます。
 雪中梅は正月になると呑んでいるお酒で、ほんのりと甘い香りがします。これが実に堪らない、ポンと封を切った瞬間から香りが立ち魔法のランプから絶世の美女があらわれたような気分になり、喉仏けがゴクンと鳴ります。吟醸酒はありませんが、吞口は吟醸より豊穣で純米酒の方が本醸造より僅かに爽やかです。めったに買えないのですが特別本醸造なんかはふくよかな中にキレがあって、あっと言う間に一升瓶が空になってしまう。

 日本酒を呑むときは常温化、肌燗で呑みますが、雪中梅を冷やしすぎるとお酒の甘さが薄まってしまい美女にそでにされた気分となるので、常温でも正月だと冷えるのでグラスに注いだ時、両手でちょっとあっためると実に旨い。口の中にアルコールのさらっとした気が立ち、甘さがじんわりと拡がり、ロックグラスで呑むと香りも一緒にただよい、美女のしなやかな指先で撫でられているかのよう。しなやかで繊細なので封を切ったら早く呑まないと酸化が始まるようですが、心配しなくとも直ぐになくなっちゃいますね。