背がスラっと伸びて咲くタチアオイ

 せっせと歩いていると背の高い紅い花が群がっているのが眼に一際映えて飛び込んできた。ツツジのようにちょっと薄べな赤い花が真っすぐに伸びた茎の周りをぐるっと囲むように花が開いて颯爽と立っている。なんとなくテレビの通信塔のように花がパラボナアンテナのようにも思え、随分と背が高いのだ。

 花の名を一生懸命に調べたところ、どうもタチアオイではないかと思う。薬草として結構古くから日本に伝わってきたそうですが、今では鑑賞用になっているらしい。直立不動の姿は凛々しさがあって観ていて楽しい。6月の梅雨入りごろから咲き始めて梅雨が開けるころに花を閉じるようで、アジサイと同じなんだなぁと思うとアジサイの方が眼にする機会が多いようだ。古来からあるということはどこかで見かけているはずなのですが、人は気にしていないと認識されないようで記憶にないことになる。よく街角が突然空き地になっていることがあるけど、何が建っていたのかちっとも思い出せないのと同じように思う。
 タチアオイで思い出したけど、よく考えてみたら家紋にありますよね?たしか、徳川家の三つ葉葵は立ち葵から創案したと聞いたように思う。そうであるなら、やっぱり随分と古くからあるんだ。家紋は葉っぱが描いてあるけど、どう見ても花の方が綺麗で葉っぱを気にしてなかったから家紋と同じなんだろうか。