Stereo誌2004年3月号のブラインドテスト

 アナログアンプとデジタルアンプを当てるテストの記事を興味深く眺めていた。音の違いは分かるけど、メーカーと価格は分からないと思う。まずは、雑誌のテスト環境を記す。

 ・被験者 4名
 ・デジタルアンプ 6台 9,800~1,000,000円
 ・アナログアンプ 2台 120,000円 3,300,000円
 ・スピーカー、プレーヤー、ソースは不明

 結果
 ・アナログアンプと言い当てたのは1名だけで、3,300,000円のアンプは全員がデジタルと評価
 ・音質の評価はデジタル1,000,000円が1位でアナログ3,300,000円が最下位


 3,300,000円のアンプはアキュフェーズのセパレートアンプなのが面白い。デジタルだと評価されるのはよく解る。分解能が高く一音一音を鮮明にスピード感に優れ、ダンピングファクターの効いた音だから、スピーカーによっては味気ない音に聴こえると思う。音質と言うのはデジタルかアナログではなくプリアンプの影響を強く受けるし、デジタルのDAC部分は分解能を左右しているけど、音質に関してはオペアンプ等のアナログ回路に左右されるようだ。
 これがスピーカーのブラインドテストでも似たような結果になると思われる。音質のことだけを言えば、常用しているイヤフォンとMacでも良い音がしているし、最近のカーステレオも侮れない。特にイヤフォンなんかは耳骨を通るから低音なんかでも驚くほど出てくる。
 あのベートーヴェンが難聴になった時、タクトを加えてピアノの振動から音を拾っていたというぐらいだ。そうやって考えると、そもそも音質という人の嗜好に沿った解釈で評価するのは指標が間違っているのではないか。イヤフォンで定位の良い音像は現れない、なにせ前後の距離感を僕はつかめない。
 スピーカーとアンプの種類や組合せによっては、アンサンブルとしての音が良くても各楽器がどこで鳴っているのか、ひどい時にはトランペットとトロンボーンとサックスの音がごっちゃで聴き分けられない。ましてやオーケストラの楽器が一緒になっていたらさっぱりわからない。ここまでひどくはないけど、自分のLS3/5aでは定位がぼやける傾向にある。なので、楽器の種類と位置、艶-スッキリを音量の大小に分けて聴き分けテストをするのが良いと思う。
 あとは、各々が良くても音楽にならない時があるので、これをどう評価したらいいのかと悩むところだが、好き‐嫌いの評価を足してみてはと思う。自宅のアキュフェーズE-470+タンノイPrecision6.2LEの組合せは、スッキリな方でヘレン・メリルを聴くとちょっと味気ない。OrtofonGE+Ortofon6600+ヤマハA2000+LS3/5aで聴くと艶が出て雰囲気は出る(モノラルなので定位は気にならない)。なにせ、カートリッジやトランス、アンプなどの組合せを替えて聴いていると、前回こんな音だったかしら?などと思うことがしばしばある。聴く方も変化しているのだろう。しかし、自分が購入した機材だと試行錯誤するうちに似たような音色になっていくようである。好感を持った音の機材を買っているので当然なのかも知れない。


 機材の修理をしているときにLS3/5aで音楽をかけていたら驚いた。スピーカーのLとRの距離は1.8mほどであり、いつもは正三角形になる位置で聴いているのだが、この時は正三角形の中心ぐらいで聴くことになった。そうしたら、音像の定位がよく解る。スピーカーの位置はもう少し高いと良いのだが、壁に掛ける位置がないのが残念だ。ステージの下で、かぶりつきで聴くようで楽しい。