ファンファーレで始まる主題は少しずつ音を変えて出てくるので誰でも記憶に残ると思う。カートリッジAT33Saで聴く出だしのファンファーレはトランペットの音がとても綺麗で金属の響きがどこまでも届きそうだ。
AT33Saの高音域は固いボロンをカンチレバーに採用しており、それが鈍らずに飛び出してくるように思え、ヒステリックにもならずとても良い。その分、低音域がスポイルされるように錯覚するのだけど、チューバの野太い旋律が始まるとしっかり再現されていることが解る。
オーケストラの各楽器が粒のように定位しており、シバタ針の音像を拾う能力の高さも活かされている。プロムナードの主題の旋律がワインを飲むほどに心地よく響き、クラシックを聴くのも実に愉しいと思う一曲だ。
原曲はピアノだけど、管弦楽の広がりを聴くとこちらの演奏が多いのも頷くことができ、ラヴェルが管弦の魔術師と言われたのがよく分かる。