HIFIMAN EF400 を買ってみた:レビュー

 HIFIMANと言えば、平面駆動型ドライバーを搭載したヘッドホンメーカーとして有名ですが、EF400はDAC搭載のヘッドホンアンプです。2022年6月に発売されました。出たばかりなのですが、中古がぽっと出たため、ついつい買ってしまいました。

 DACはアムレックAL-38432DS、トッピングD90、iFi iDAC2、Chord Mojoを持っているので、違うチップメーカーの物がいいなと思っていたところにデザインの良いEF400が出てきたというところです。



 メーカーサイトの仕様内容は大雑把で分からないところが多くて困ります。紹介サイトなどを読んでもDSDの処理については良くわからないのですが、一部のサイトにDSDネイティブとあり、R2RタイプのDACなのにDSDネイティブなのかなと疑問に思いました。

 そこでメーカーサポートに問い合わせたところ、DSD ⇒ PCMではなくDSDを直接取り込めるように設計されているとのことでした。R2R設計と言うのは、マルチビット対応でPCMをネイティブに変換できることで音質的に優れることが特長だと言われていて、1bitのDSDをネイティブに変換する話は聞いたことがありません。どうもDSD専用の回路があるようです。





 CD創世記のDACはもともとマルチビットだったのですが、演算処理が大変で技術的に苦戦したことから、1Bitストリーム方式が開発された経緯だったと思います。所持しているLHH300が1ビットストリーム方式を売り文句にしていました。でも現在では飛躍的な演算処理をチップ化することで対応が可能になったため、R2R設計DACが出てきたのでしょう。

 Chord社のDACも社長がPCMの方が音質的には優れていると考えて、自社開発のDACを作っており、MOJOはとてもパワフルな音を聴かせてくれるので、このHIFIMANも期待するところです。
 なお、PCMは192kHz24bit、DSDは5.6MHz(DSD128)までが再生の上限だそうです。それ以上の入力ソースはダウンサンプリングされるとのことでした。また、EF400の特長にオーバーサンプリングの有無を選べるのですが、これによりノイズ除去の精度が変わり、音の変化を感じられるのでしょう。

 音質について、CDのリッピングソースを聴いてみました。オーバーサンプリング無しでは、端正な音で切れ味良くHiFiなフィーリングが出ています。これをオーバーサンプリング有りにすると音の繋がりがスムーズになりながらも音に力強さが出て、これってCDだよねと思うくらいです。アップサンプリングして音の挿入と24bitに変化しているのではないかと思えてきます。

 次に96kHz24bitのソースをオーバーサンプリング無しで聴くと、クリアで鮮明な点がよく分かり、このアンプの音の特徴が強まる気がします。オーバーサンプリング有りにすると僅かですが弦の響きが柔らかくなったように思えます。
 更に192kHz24bitを聴きますと、オーバーサンプリングの有無による差はほとんど無く、ジャズのバスドラムの押し出しがオーバーサンプリング無しだと、強まるかなということを注意すれば気付く程度です。

 少し気になるのは、弦楽四重奏を聴いたときに各楽器の鮮明で端正な音はいいのですが、音の重なるふくらみがスッキリして、音楽の表情が少ないように思え、長時間聴いているとやや疲れる感じになりました。
 さてDSDはR2R設計なのにネイティブなので、どのような構成なのか知りたかったのですが探しても見つけられませんでした。DSD64、128などを再生してみると、ファイルによってオーバーサンプリング無しではノイズを発生するものがあります。どうもレーベルの違いによって差が出ているようで、機材やソフトの違いがでるのでしょうか。他のDACで再生した時に、ノイズを聞いたことはなく不思議です。ちなみに、PCM192kHz24bitに変換してから聴くと何の問題もありませんでした。これなら、ネイティブではなく、DAC内でPCMに変換してくれた方が良いです。

 デザインが優れていて価格も手に届く範囲で、据え置きDACでヘッドホンアンプという希少品なのにDSDを考えると悩んでしまいました。