自由の国でを読んでみた V.S.ナイポール 著  安引宏 訳

  アフリカの植民地だったのだろうか、王国から大統領へとクーデターが起きているさなかに、白人が居住区から居住区へ車で移動する話です。自由の国とは難しいものだけど、日本は『自由度が低い』とのつぶやきを想い起こす。


 白人の主な登場人物は、運転している男性、同乗している女性、ホテルを経営している大佐(退役しているのだろう)の3人なのだけど、彼らの会話の中にアフリカの国で何を望み生きてきたかが巧みに描かれている。
 黒人の登場人物は雇われている数人で誰も主体的な発言は無く、その構成が『自由の国で』というタイトルに表れているのだろう。
 ただひたすらうつろである。