ヘッドフォンアンプ ORB JADE casa を買ってみた

  オペアンプを使用したヘッドアンプを捜していたところ、このJADE casaを見つけました。中古で値段も手ごろでオペアンプの差し替えもできそうだったので買ってみました。

 ORBという会社は聞きなれないので、ちょっと調べたところセキュリティシステムや機械制御なども手掛けていて、音響関係ではケーブルやマイク、プリメインアンプ、ポータブルアンプなどを製造販売していました。

 JADE casaは既に販売中止のようで、発売時期は2012/12からのようです。持つと割と重く感じるのですが、重量は2kgとのことです。100Vの入力で電源コードも太くて重量感があります。
 中身を覗いてみると。電磁ノイズの少ないRコアトランスを使用してJRCの三端子レギュレータを左右独立に配置してDC12Vを作ってあり、オーディオらしさがあります。


 入力前段にOPA2604と5532DDの2種類があり、切り替えで使うようで前パネルのDynamicをOnにすると5532DD側のように思えます。5532DD側に電解コンデンサと抵抗が多くついているのはローブースト回路ではないかと思い、Dynamicにすると低音域がブーストされて音がふくよかに聴こえます。OPA2604は腰が落ち着いた音だと思っていたのですが、このアンプではフラットに聴こえます。
 オペアンプの後段にMUSES8920が使ってあり、落ち着きのある方向で重厚感を狙ったのかなと思いますが、意外にソリッドな風合いに驚かされます。そして最終段にパワートランジスタ2SC5200が単独で使われています。出力の大きいパワーアンプに使用されることが多いと言われているパワトラですけど、このアンプの出力は32Ω180mWと小さいのが不思議です。これなら、他の小さいトランジスタをコンプリメンタリにして出力してくれた方が良いようにも思えます。




 音質としては、OPA2604 → MUSES8920で聴くとソリッドでフラットな雰囲気で音の響きが少なく音の立上り立下りを速く感じ、いわゆるハイレゾな感じに聴こえます。5532DDは低音域がブーストされて全体的にふくよかさがでます。5532DDは余り好みでない音なんですけど、ブーストされているせいなのかも知れませんが、随分とイメージが違います。いずれにしてもオペアンプの種類を知らない方が聴いていて楽しめます。
 全体としてはよくまとまった音で、どのジャンルを聴いてもすんなりと聴いていられます。イヤフォンのHA-FW01で聴くと相性も良く、カチッとした中でウッドコーンによる滑らかなアコースティック楽器の音が楽しめます。

 次にヘッドフォンDT1990Proにするとボリュームが3時程度になりますが、オーケストラの各楽器も良く分離して鳴ってくれます。でも、ヴァイオリンの響きの艶やコーダの時の瞬発力みたいなところに物足りなさは感じるわけで、この辺りにパワー感の問題があるのかなと思います。
 また、1回路のオペアンプを使って標準的なSEEP回路で出力してくれていたら、MUSES03が使えたのになぁと思いました。