カスパーを読んでみた  ペーター・ハントケ 著 池田信雄 訳

  1967年に作られた3作目の作品ですが、小説ではなく戯曲です。かなり風変わりな演劇になると思いますが、イメージがつかないくらい難解に感じます。


 会話がなく、カスパーが何人もいます。各々がメッセージなのか、独り言は発します。カスパーは人の名前なのでしょうか、それとも何かの事象を捉えたものなのでしょうか?僕なのだけかも知れませんが、判然としません。

 劇場の振る舞いを細かく指示している割には雑絵としていて、めいめいが勝手に動き回る動作や呻き声などは監督の技量が問われるし、空間の作り方にも優れたセンスを問われ、視覚的なインパクトがないと終わりまで観れそうな気がしません。

 主題は最後のページにカスパーの16段階と説明があるので、これだと思えば間違いないように思えます。個人的にはホラーなのでないか。。。プロンプターといって状態説明を補う誘導者が3人もいますが、無機質的で空間を平面的にしてくれます。