なかなか面白い題名だけど、これほどに題名と中身がすれ違うのは面白く、ゴッホの絵に犬って出てこない。ゴッホの手記の残るメモ帳が送られてきて鑑定を求められることがテーマの始まりなのだけど、それが主ではないところが主題のようです。
出てくる人物が一族郎党のような手合いで、家系のルーツを謎解きのように紐解いて進む。年齢は様々だけど職業は学者や本に携わる人たちばかりで、知らぬ間に全員が同じ口調でため口になってしまい、誰が誰なのかは分かりにくいのだけど気にしなくても読めるようです。
会話の多くは物事の成り立ちやいわれなど博識に富んだウンチクにあるようで、これも主題のひとつなのでしょうが、広範囲に渡り過ぎて俯瞰してみると疎らなゆえにウンチクが希薄になってしまうように感じます。
なぜか、読み進むに連れて読む速さがスローになり間隔が空くようになりました。ちなみにゴッホの犬は一族に懐いた野良犬で、彼が主人公なのでしょう。