MDR-Z7M2を買ってみた:レヴュー

 ソニーから出ているヘッドフォンMDR-Z7M2を買ってみた。密閉式は初めてなのでどんな音になるのかとても楽しみです。それに70mmという大口径なドライバーが興味をそそります。


 一見は重厚そうで重そうに見えるのですが、重量は340gですので割と軽く感じます。ちなみにDT1990proは370g、HE400seは385gですから、持っているヘッドフォンの中では軽い方です。
 外箱は白地で中箱は黒色と感じの良いデザインだと思います。ケーブルは3.5mmのジャックに6.3mmのアダプター付きと4.4mmのバランス対応の2本があり、どちらも銀コートOFC線と凝っています。



 ケーブルは柔らかくて取り回しが良く、タッチノイズもありません。LRの表示は白赤でわかりやすく親切な設計になっています。

 装着した時に耳をすっぽりと覆ってくれてホールド感も優しいですし、耳の周りの密着感も良いです。耳の後ろ部分が少し張り出すようなイヤーパッドが包み込む感じを引き立てていますし、遮音性も高くなっています。

  MDR-Z7M2を買ったのは密閉型を持っていなかったので密閉型を聴きたかったのと、音の前後感をスピーカーで聴くようなギミックを体験したかったのです。ヘッドフォンやイヤフォンで聴くとどうしても頭の中で音がなるので、遠近感のような空間を感じにくいのです。そこで、ドライバーに角度をつけて前方から音がするように工夫がしてるタイプを聴きたかったのです。写真が見づらいのですが、前後でイヤーパッドとドライバーの隙間が違います。



 どのくらい前方から聴こえるかというと僅かで、鼻先あたりに音のセンターがきます。でもこれが長時間聴いているとなかなかいいんです。最初はスピーカーのような期待をしてしまうのですが、これはやっぱり無理なわけです。でもオペラを聴くとバックのコーラスとソロのソプラノに前後感でますし、幕間へ遠ざかる音も雰囲気が出てくれます。結構気に入りました。

 さて音質ですが、組合せはDAC Topping DX7pro(ES9038pro)、アンプ LUXMAN P-1uで聴きました。低音はこんなに響くんだと感じます。ある意味抜けが少ないので少し饒舌な風味を感じますが、ジャズのベースの弦が減衰してゆく響き方はとても印象に残ります。
 ヴォーカルはクリアで発音が良く聴き取れ、リズムセクションはどんなに活発であろうが破綻するような素振りはありません。どこまでも整った音の印象を受けます。オーケストラでも各楽器が一つ一つ整然としていながらも調和の取れた調べを奏でます。
 高音域もよく出ていますが、低音の張り出しのせいか全体的に腰が低いように感じます。でも、クリアな音のせいかDSD256などの高密度な音源を聴くと音のきめ細かさを感じて、実に滑らかな流れです。でも、ヴィヴァルディのカンタータを聴くとソプラノの透き通るような伸びやかさが不足しているような、きっと滑らかすぎるのと重心が低く感じるせいなのかもと思います。高音域だけを聴けばとてもよく鳴っているのですけど、何ていうのでしょうか安定感がありすぎて物足りなさが出てしまうのは欲なのかもしれません。

 DACをiFiのiDAC2に変えて聴いてみますと、僅かにドンシャリな傾向になります。このDACの方がDX7proより古いBurr-Brownのチップを使っていますが、P-1u + MDR-Z7M2との組合せでは愉しく感じられます。
 DACとアンプをMOJOに変えて聴いてみます。携帯用の小さなボディですが、なんとも大らかにMDR-Z7M2が鳴ってくれます。インピーダンスが56Ωなので、くもなく鳴らせるようでメリハリの効いたMOJOらしさの中にきめ細かさが忍び込んでいます。意外といろいろな表情を見せてくれるヘッドフォンです。

 長時間聴いていても草臥れることはなく愉しく聴けますし、高密度な音質の再生も違いがわかるように、しかも音の前後感を再生してくれます。そつのない優れたヘッドフォンという感じです。

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