オーディオテクニカのヘッドフォン ATH-ESW9LTDは2014年11月21日発売なので、すでに10年ほどの歳月が流れており、生産中止になっている。なので中古品になりますが、音はいたって康らかで艶がある。
2007年7月に発売されたATH-ESW9の限定品で全世界3,000台の販売だったようだ。ハウジングは天然無垢のチークで鏡のように背景が映り込む、ハウジングが無垢だと音が良くなるのかは分からない。スピーカーなんかだと圧縮剤の方が良いとか言われるので何とも言えないけど、ヘッドフォンぐらいの大きさなら経年による変化が小さく使用可能なのだろう。
ポータブルヘッドフォンなのでハウジングの径が70mmと小柄なため、耳を覆うことはなく外耳にイヤーパッドが当たり、少々耳への圧迫感を伴う。イヤーパッドの内径は38mmと意外に広く、ドライバーはなんとφ42mmもある。ハウジングの厚みは15mmほどなので薄い筐体の中に大きめなドライバーが収まっており、音的にも直接的で立ち上がり立ち下がりが早く感じられ、ハイレゾ対応の売りにもなっているのだろう。
密閉といえば密閉なのだけど耳を覆うわけではないので適当に音が抜けてるのでしょう、こもるようなことは皆無です。スピード感があり朗らかで良い音がしますが、音の拡がりは小さい気がします。この辺りはハウジングが小さいせいなのでしょう。
純正のケーブルではなく4.4mmのバランス接続用のジャックが着いており、しかもMMCXコネクタに変更されてました。このケーブルはタッチノイズがひどいので手持ちにあったNobunagaのケーブルに変更しました。他のイヤフォンケーブルと使い回しができる点はMMCXの良い点だと思いますが、マイナス側(Grand)の接続不良になりやすいのが難点です。
音質としては苦になるような所はなく、低音も十分ですし高音の刺さりもありません。実に中庸でよくできており、やや高音に引っ張られる感じで快活で朗らかな音です。そのせいか、オーネット・コールマンのゴールデン・サークルを聴くと陰的な暗い部分が薄まって聞こえます。分析的で音の断面をスパッと切るようなタイプではなく、どこでも気軽に良質な音楽を楽しまさせてくれるタイプです。
重量はたったの160g、インピーダンスは46Ωと気軽にアンプを選べます。