デンマークの女性作家アイザックの短編集(2巻)。どの作品も貴族やブルジョワが出てくるので19世紀初頭なのでしょう。キリスト教の思想を背景に時代の観念をすこし懐疑的に話している。1934年のデビュー作であり、どの小説も知的なセンスとユーモアを持ち合わせている。
どの作品も男女の物語でミステリアスな展開になっている。それにしても未婚の女性貴族が出てくる頻度が多いのは、作家の離婚経験からくるものなかもしれない。1話のなかでも多くの物語を作中の人物が話すので、何話も読んだ気分になってしまう。
少々ダークでひんやりしたところが、この猛暑の中では気が利いている。文章は小気味よくサスペンス的な構成が香り立つ。