『マーリ・アルメイダの7つの月』を読んでみた シェハン・カルナティラカ 著 山北めぐみ 訳

  スリランカ内戦の時代をカメラマンが生死を通して眼にした物語。ここ数年の中で読んだ本の中でとても良い本の一冊。文章が活力に満ちてきてその中の渦に巻き込まれる。


 死んでから光に行くまでの7日間を7つの月と表現している。ここでの光は、きっと青い鳥に出てくる光なのだろう。『リンカーンと彷徨える霊魂たち』でも現世と黄泉の狭間があり、ここでも7日間だった。ここでの光は、きっと青い鳥に出てくる光なのだろう。ネパールのチベット仏教の聖典に死んだものが死を理解するのに7日間が必要だと書かれている。でもこの本の7日間は波瀾万丈で凄まじい。戦争の悲惨さはどこも同じだけど止むことはない、子供を抱えて川を渡る姿を捉えた写真を思い出す。

 言葉遣いの荒々しさは『7つの殺人に関する簡潔な記録』を思い起こし、文章の構成と展開は『レイラの最後の10分38秒』を彷彿とさせる。とても刺激的でありながら、哲学的でありながらも文のエネルギーが空間を埋め尽くしてゆく。