1970年代後半ごろかと思うのですが、自作スピーカーで有名なオーディオ評論家の長岡氏が絶賛されていたターンテーブルシートがパイオニアのJP501という品番です。それから40年近くになろうかという時にわざわざ買ってしまった。プチルゴム系の素材なので経年変化は起きているし、当時の性能がでるとは思えないけど、好奇心とは不思議なものだ。
物が届いたので開梱してみるとシート面に糸くずのような埃がついているので取ろうと思ったら取れない。シート面が密着し易いようにできている。面がザラザラしていて超微細な穴が無数にあるような感じがする。そして驚くほどに柔らかい、40年近くも経っていると硬化しそうなものなのにクタクタなのだ。ゴムというものは変質しつづけるものなのに驚きである。でも旧いものには違いないので、呉のラバープロテクタントをスプレーしてみた。少し艶がでて若返ったようでいい塩梅にみえる。シートの厚みを見ると均一のようで凹んではいないようだから、オーディオテクニカの勾配のついた金属製のターンテーブルシートのようにスタビライザーでレコードの反りを防ぐのとは違うようだ。
ビクターのQL-Y7に取り付けてみる。柔らかくて密着性がよいのでアルミ製のターテーブルにピタッと収まる。レコードを載せてレーベル部分を押さえてみるとレコードとシート間にある空気が抜けてレコードがしなやかにシートを密着するのに驚いた。吸着式のスタビライザーが出てくるのはもう少し後の時代だったので、これは先進的な機能だと思われる。きっと高性能な機器ではこの違いが分かるのだろう。では、拙宅での音はどうかと言うとあまり変わりはない。すごく注意して変化を探すと高音域のキツさがなくなり、サ行で粗さがでるカートリッジなどではありがたい変化である。密着性の良さとしなやかさからダンプが効くようだ。もともとの希望小売価格は2,200円なので大変すぐれたシートだと思える。