Rogers LS3/5aのセッティングを変える

 Rogers LS3/5aの音がなぜか左に寄ってきたのは、YAMAHA A2000が古くなり電解コンデンサかパワートランジスタが劣化しているかと思っていた。そこで、300Bシングルの真空管アンプであるTU-8600Rにパワーアンプを変更した。音の切れはすこぶる良くなり、楽器の音粒が綺麗に見える。しかも、定位までが数段良くなったのには特に驚いた。A2000は既に30年選手なのだから、やはりメンテナンスをしなければならないのだと思う。300Bに替えて、こんなに高音域がキラキラと輝くものだと感銘していたのだが、よくよく冷静になって聴いてみると、若干ではあるもののやはり微かに左へ寄る。当然、録音状態にも拠るのだけど、TANNOY Precision6.2LEではヴォーカルがきっちりとセンターに輪郭される録音でも左へ微かに寄っている。ひょっとして、TU-8600Rはキットなので、半田付けが悪かったのかと思うけど、熱にとても弱そうなICは無いようだし、右側から出るレコードのスクラッチノイズを聴く限りではアンプの問題ではないように思える。


 そこで以前から気になっていたのは、Rogers LS3/5aの高さが左右で違うのだ。狭い部屋に置いてあるので、左側はターンテーブルの置台の上にあり、右側はカミさんの鏡台の袖の上にある。このため、左側が40~50㎜ほど低いのである。それから置いてある土台も違うので本来なら強固なベースにしたいのだけど、とてもカミさんに言えない。鏡台のスペースが他に使えたらバランスがよくなるのだけど無理っぽい。それはさておき、このスピーカーはウーハーより低い位置で聴いた方が、低音が出てウェルバランスになり、低い位置で聴くと微かに左へ寄っていることに気づく。家に余っているレンガを広告紙と黒いガムテープで巻き、左側のスピーカーの下に入れてみる。レンガとスピーカーの間には3mmほどのゴム板を3点に挟んでおく。そして試聴するが、なんとなく良くなったようでなっていない。スピーカーの向きをあれこれ変えてみるがピタリと収まらない。右側の鏡台の袖は抽斗になっていることに気づいた。抽斗の空間に音が響いて吸収されているように思える。Rogers LS3/5aはブックシェルフなので、反力をしっかり受け止める土台でないと音が弱くなってしまう。たまにしか聴かなかったので、こんなものかとのほほんとしていたのがいけない。そこで、右側のスピーカーの下に5mmほどの固いハードボードを入れ、3㎜のゴム板を3点に挟んでセットした。たった5mmのハードボードでも効果は高いもので、センターにヴォーカルが収まった。
 アンプを替えてRogers LS3/5aの能力の高さを改めて感じた。それと相性はあるもので、アキュフェーズE-470で鳴らした時よりもTU-8600Rの方が鮮明で繊細なニュアンスが出ている。