ヴァイオリニスト庄司紗矢香を聴く

 1999年にパガニーニ国際ヴァイオリンコンクールで優勝したのですが、当時16歳という史上最年少。その翌年の2000年にこのCDをリリースしているので17歳の少女が弾いているのだけど説明がなければそんなに若いなんて思わないほど安定感のある綺麗なヴァイオリンを奏でている。パガニーニと言えば天才ヴァイオリニストでやたら難しいテクニックをいとも簡単に弾くことで有名でそれを披露するために作曲したようなものだから、高度なテクニックを要求されるのだろうけど、すんなりと滑らかに乱れるような欠片もなく精錬されたうちに終わり、なんだか清らかになった気分である。

 指揮者はズービン・メータでこれまた綺麗な音で録音状態も良く、ヴァイオリン・ソロの音色が鮮やかに浮かび上がるような演奏で、イスラエルフィルとのコンビは一心同体のように思え、可憐さが残る彼女をそっと抱きかかえるかのように端正な音色である。