20世紀の偉大なる精神異常なロックバンド、キング・クリムゾンを聴く

  キング・クリムゾンをロックとして聴くならやっぱりデビュー作のクリムゾンキングの宮殿である。のっけから21世紀の精神異常者のノイジィーなギター音にディストーションされたハスキーで透けるような高いヴォーカルが覆いかぶさる。1969年に発売されたけど、この音を聴いた人はぶっ飛んだと思う。それでも英国のチャートで5位に入るのだから、ある意味英国は病んでいたのだと思う。実際に長期低迷の最中でイギリス病と言われた時代であり、モッズと呼ばれる若者のムーブメントがあった。1979年にさらば青春の光という映画も作られ、観に行った覚えがある。何十年経って年老いた今聴いても、力が湧いてきて知らず知らず拳を握りしてしまう。



 A面の最後にエピタフ(墓碑銘)という名曲が入っている。タイトルの名の通り静かな曲なのだけど、グレグ・レイクのヴォーカルに引きずり込まれる。ちなみに1曲目もグレグの声なのだけど、エフェクタがかかっている。そのままの声は魅力的で、これを聴いたものだからクリムゾンを脱退して参加したELPのアルバムを買うことになる。

 1枚目のアルバム後、メンバーが入れ代わり立ち代わり変わってしまい、リーダーのロバート・フリップのバンドとなり、重くて暗いイメージが付きまとう。近代音楽風になってしまい、針を落とす回数は少なかった。やはり1枚目はロックであり、メロディーラインも美しい。