アル・ディ・メオラのギターを聴く:レビュー

 CASINO

 1978年3枚目のアルバムで早いビートのギターが炸裂している。とにかく早くてチャタリングしているかのような弾き方だから、音のビートの塊がメロディをなぞるように思え、フラクタルを思い出してしまう、そんな演奏なんです。しかも、スティーブ・ガッドのクールなドラミングがカッコよい。



 アコースティックギターを聴いても凄さがわかるけど、やっぱりエレキギターのアル・ディ・メオラを聴くのだったら、このサウンドは見逃させないし、若いエネルギーが漲っている。もうギター音だけで頭の中が埋め尽くされる。


Splendido Hotel 

 1980年4枚目のアルバムで2枚組になっている。リターン・トゥ・フォーエバーに在籍していたので、このアルバムにもチックコリアが参加している。そして、リターン・トゥ・フォーエバーの雰囲気が色濃く出たアルバムでもあり、2枚目のようなギター小僧が弾きまくるようなサウンドではなく、洗練されたメロディラインが綺麗なトーンのギターで奏でられる。Splendidoは綺麗という意味らしいので、そういうことなのだろう。 音楽の構成など、幅広い意味でアル・ディ・メオラの感性の拡がっていくのが判る。



Electric Rendezvous

 1982年5枚目のアルバムで再びパコ・デ・ルシアと逢い(相)見える。2本のアコースティックギターが真剣で手合いしているかのように響き渡る。こういうのを聴くとオーディオをかまいたくなるわけで、素晴らしい演奏があるからシステムも良くなるわけである。



 4枚目が綺麗なジャズフュージョンでアコースティックギターの曲があるからと言って、穏やかなアルバムではない。ジャケットにある黒ヒョウどおりの刺激あるサウンドでこっちの方がアル・ディ・メオラらしく思う。痛快な1枚だと思う。


Scenario

 1983年6枚目のアルバムになるのだけど、前年にライブ盤があるのでリリースとしては7枚目ですね。このアルバムはスティーブ・ガッドがドラムをたたいていなくて、なんとフィル・コリンズが叩いているんです。これにはちょっとビックリです。キーボードはヤン・ハマーが3枚連続で参加していて、曲の半分は彼の作曲ですから、サウンドとしての影響も大きくなっています。



 少し緩やかで落ち着いた大人の雰囲気になっているので、硬軟が一作ごとに入れ替わるという感じです。でも、ヤン・ハマーの曲はどちらかというとハードな曲をイメージするのですが、違った一面を見ることができます。フィル・コリンズがバラードを唄っていたら凄いアルバムになったかもです。まぁ、歌い始めたのは随分と後ですから無理ですね。