タンノイと300Bとミャンマーのコーヒー

  ちょっと気になる音を探して脚を伸ばしています。300Bという名の真空管の音が気になって片田舎の喫茶店に来ました。こじんまりとしたお店ですが、マスターが一人で切り盛りしていて目の行き届いた心地よい空間です。淡い赤色の柔らかい紅い紙でカバーされたメニューをみるとマナーの注意書きが書いてある。お子様のマナーが悪く他のお客様からクレームが出た場合は即刻お引き取り願い、高級なオーディオもあり機材を破損された場合は修理請求します。これでお店を守ってきました。とあるのを見て、芯の通ったマスターやなと思いながらマスターをみるととても優しそうな方で、なんとなく注記されたのが解かる。




 さてと、オーダーをするにあたり今日のおすすめのコーヒーが珍しいミャンマーの豆だったので頼んでみた。ちょっとお高い値段ですが、8割ほどの席は埋まっていて人気があるようです。オーダーしてから豆を挽いてドリップしてくれるので挽きたての香りが漂っていて香しく午後のけだるい時間を浮かせてくれます。とても上品な味わいで濃い目が好きな拙者には物足りなさが残るけど、ローストされたナッツが旨い。このコーヒーは飲み終わってしばらくするとかろやかな酸味がふわっと戻ってきて、それが柑橘系の味わいに似ているのが特徴だと思う。

 音楽のボリュームが小さくて隣に座られた中年女性二人の愚痴ばかりが聴こえてきてサックスの音が僅かに響いているだけだ。カウンターの前に座ったので、厨房から低音が遅れてやってくる。それもかなり低い音なので最初はレンジフードの音かと思ったぐらい。目をつむりながら音を聴いていると、哀れそうに見えたのかマスターがボリュームをちょっと上げてくれた。スピーカーはタンノイのスーパーレッドモニター12ではないかと思う。パワーアンプはモノラルの真空管アンプでプスバンの300B、プリアンプはROTELの黒くてスリムなタイプだから995ではないかしら、ターンテーブルとCD?はデノンが置いてある。聴いている音源はレコードでもCDでもないようでWeb回線ではないだろうか、レコードが聴きたかったですね。でも、音量が上がって低域と高域のつながりが良くなったけど、中域が不足しているように思える。お店の構造や制限されたセッティングになっているからだろう。でも、拙宅の異端児なタンノイとは違って30cmウーハーの柔らかく押し出してくる低音がやすらぎを生み出してくれる。