アメリカーナ チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著 くぼたのぞみ訳

  上下2段の文字列で530頁もある恋の遍歴書。ナイジェリアからアメリカへ移り、時の流れに翻弄されて青春期の恋を恋慕しながらつづられるメロドラマだけど、文体が軽いので昼メロのようなドロドロ感はなく、結構省いた方が良いように思えるところが多く、できたら半分のページに凝縮した方が胡散臭さが消えるように思える。


 主人公は女性でナイジェリアの都市ラゴスで暮らし、お金持ちが通う学校へ行っているのだけど家賃を滞納する家庭に育ち、高そうな月謝を払えるし、アメリカへ行って貧乏生活をするのだけど、借りてきた貧乏のようで貧困さはない。

 友達に助けられることが多いのだけど感謝や誠実さは書かれておらず、自由奔放さとして彼女の魅力の一つとして書かれている。

常識に囚われない知的な人物の設定のようでアメリカの人種差別のブログを書いたら、講演の依頼が舞い込むほどの人気になっているけど、どうして人気になるかは不思議。どうもそれがテーマではなくて、ストーリーの恋愛履歴のエッセンスにされているようで、タナハシ・コーツが読んだらどう思うのか聴いてみたい。

 ナイジェリアからアメリカにわたり、アメリカなまりの英語を話す人をアメリカーナと言うみたいだけど、(ナイジェリアの国語は英語)主人公は母国の英語発音を意識していて、とても薄っぺらく感じる。だから、アメリカーナとは主人公をさしているわけではなさそう。なぜアメリカーナなのかしらん。