FP-3427をMCトランスとして組んでみた(ケーシング編)

  FP-3427と言うトランスを手に入れたのでケーシングしてみました。これはI.P.Cという米国の会社が劇場用のアンプAM-1065を製作した時に使用した入力用トランスのようです。結構有名なアンプだったようで、Webで検索するとe-Bayでの販売内容が出てきます。

 このトランスの製作会社はUTCのようですから、良いものだと思ったのと結構見た目が気に入ってしまい買ってしまいました。1次側が600Ωで2次側が10kΩなので、約13倍の昇圧が取れ、センタータップを使えば1次側300Ωになり、18倍の昇圧になり使いやすそうです。

 そして、すごく気になったのはアンプの回路図です。入力トランスとして使われていて、トランスの入力が①-③番、出力⑤-⑥番(図面は④-⑤ですが、④はグランドでした)なのに、②番のセンタータップが⑥番のマイナス側に短絡してあるんです。
 こういう回路はバランス接続の場合みたいですが、どんな音になるのか?昇圧はどれくらいになるのか、とても楽しみです。

 まずは、回路図の設計ですけど4回路3接点のロータリースイッチがあるので、Passと昇圧に分けて考えてみました。余分な接点のない方が音質的には良いと言われていますが、他の個所の違いの方が大きいように思われるので、便利さ優先でいきます。

 ②番と⑥番を短絡しているので、入力側と出力側のマイナスを短絡せずに繋ごうと思います。でもこれって、きっとハムが出るんですよね...②番を短絡するとバランス接続に見えるらしいですが、トランス出力のバランス回路の場合、2次側のセンタータップを使うので?です。
 もともと劇場用のプリアンプだと考えると業務用なので、入出力ともにバランス接続なのかもしれません。とりあえずマイナス側もロータリスイッチで切り替える回路で作ります。


 次は、部品配置の図面です。FP-3427の大きさをノギスで測ってみると38.5*38.5*63mmでした。UTC A-11より一回り大きいという感じですので、アルミケースはハモンドの1590BB 94*119*34mmで収まりが良いようです。
 今回の色は、黒の縮み塗装にしました。現物を見てみたらカッコイイ塗装なので、見た目だけは良くなりそうです。黒色で困るのはケガキ線を直接画けませんので、マスキングテープを貼って対応です。購入先はいつものgarrettaudioです。


 

 アース端子の良いものがなく、スピーカーターミナルを代用するとM3用のY端子が嵌りにくいので、ターミナルリングを買ってM3のネジと六角両目ネジで作りました。意外とこれが使い易いです。裏側にも塗装が残っているのでトランスケースとアース端子の接合面をサンドペーパーで削り、テスターで導通を確認できました。



 トランスの端子を逃げるためのカットアウト(丸穴)が25φなので、アマゾンでホルソーを買うのですが、1回ぐらいしか使わないのが残念ですし、増えていくのでカミさんに小言を言われるのが困りもんです。

 配線に関しては、以前に買った古い米国製の単線を使います。以前はWEの旧い単線を使ったのですが、高いのと音質的に良いのだろうけど、同じトランスで配線の種類を変えて聞き比べることができないので、在庫品で良しとします。


 はんだ付けですけど、なぜか配線場所を間違えます。今回も注意していたのに、配線を添わす場所を考えていたら1ヵ所間違えました。あと、使われていたトランスだからでしょう、タップにはんだを付けたら、何やらプクプクと泡立ちがして異臭がしました。
 きっと古いはんだのヤニが出たのだと思うのですが、今回しようしている半田は無鉛はんだです。これって余り良くないんじゃないかと思いますが、無鉛はんだしかないのでそのまま行きます。

 とりあえず完成です。他事もあったので時間切れということもあり、簡単な試聴だけしました。

 まずはPassから、つないで出たのはハム音。まぁそうでしょう、なにせ浮いているのでターンテーブルのアースがトランスケースで止まってます。フォノイコ付きアンプとトランス間にもアース線をつなぐとピタッと収まりました。

 A2000のモードはMCのままヘッドアンプでゲッツ/ジルベルトの名作をかけます。SAECのC-1の針を降ろし、固唾を飲んでいると右側から元奥さんの艶かな声が聴こえ、左から音がないので心配しながら待つと、ジルベルトの甘い低い声がセンターに浮かびました。配線はOKのようです。

 針を上げて次は、昇圧に切替えてA2000をMMモードにします。C-1の針を再度降ろします。おお、元奥さんの歌声が明朗に響きます。スタン・ゲッツのテナーサックスのふくよかな余韻が静かな夜を彩りgoodです。
 音質的にはUTCの明朗で中音域が艶やかな特徴が出ており、A-11よりは高音域がおとなしいのですが、想像していたよりはシャープな音です。サックスの吹き方が伝わる表現力がよく、ブワァっ吹いた時に残るこもり音などもいいです。ちょっと聴きでは、そんな感じです。


 さて、音楽を止めてボリュームを上げます。うーん、やっぱり、、、ハムが出ます。昇圧しているから残留ノイズが大きくなるのでしょうが、Passの時はボリュームを11時まで上げても僅かにサーっという音が出るくらいなので、回路を見る限りではハムを拾っているようには思えなくて不思議です。
 トランスはケース付きなのですが、トランスが拾うのでしょうかね...それとも、②番タップの短絡がアンバランス接続だと問題で外来ノイズが③-②番で流れるのかも知れないです。

 AM-1065の回路図をよく見直してみると、出力トランスのHot、Coldに対し、入力トランスの②-⑤番がそのままグランドラインになっていて、バランスの①番Pinのようです。
 なので、アンバランスの入出力に②-⑤番の短絡はマズそうですね。しかもトランスのアースは別回路になっていました。

 ②番タップの接続変更も含めていろいろテストしてみると面白そうなので、時間のある時まで暫く休憩です。 

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