I.P.Cが設計した古い劇場用プリアンプAM1065の入力トランスとして使われていたFP-3427をケーシングしてみました。AM1065はモノラルなので2個セットで売られているのはありがたいです。
さて、前回は(ケーシング編)ケーシング内容と最初の音出し、そして問題のハムで休憩になっていました。入力は①‐③番タップなのですが、問題は②番タップから出力の⑥番タップに短絡してることです。
これは、AM1065の設計図面をみてそうしたのですが、再度よく見てみると、アンプの出力回路はアウトプットトランスから出ていて、アースラインとしてこの②-⑥番タップからの延長として出ています。劇場用のなので、入出力ともにバランス接続だろうと思います。
そこで、ワニ口クリップのケーブルも手に入れたことですので、アースラインのテストを②番タップの短絡有無しで実施してみました。入出力のグランド側の接続方法は3種類です。
アース接続 |
In
= Earth |
In
= Out |
In
= Earth = Out |
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やはり、ターンテーブルからのフォノケーブルがアンバランス接続だから、シールドに載ったノイズがInのグランド(‐側)側に入るのだと思います。これが③‐②番を流れてしまうため、ハム音が大きくなるように思えます。推論があっているのかは不明です。
②番短絡を外してIn = Earth をつないだところ、十分に小さなハム音になり、回路変更も容易なので、これに決定です。②番-⑥番を短絡していた線を活用して、InのLRをつなぎ、EarthとLをつないで完了です。
今回はトランスの位置もいろいろなところに置いてみましたところ、フォノケーブルの拾うノイズの影響力が意外と大きいのだと気づきました。拙宅の場合はアンプが3台いるので、背面はケーブルだらけで電源ケーブルも一緒にいますので、より不利な状況なのでしょう。
さて今回の目的としては、OrtofonのカートリッジEthosに合わせようと思っていたので模様替えです。つながっているフォノイコはChriskitMk6の真空管プリアンプなのですが、ここに繋ぐトランスはハム音が出やすいので懸念していましたが、なんとか小さいハム音なので問題なくホッとしました。
また、縮み塗装の黒色がなんとも言えずトランスの色と合いますし、金色のつまみやRCAジャックとのコントラストが映えて良いデキだと思います。
ではやっと本番です。E-470へChriskitMk6のTapeOutからPhonoを出力してTANNOY Precision6.2LEで聴きます。Ethosの出力は0.3V ですから、昇圧13倍のFP-3427でちょうど良い音圧かと思ったら、意外と大きいので少しボリュームを絞って聴きました。
UTCらしい明瞭で明るい感じの音です。Ethosの性格からよりエッジの効いた音になるかと思いきや、そうでもなく希望していた方向なので嬉しかったです。OrtofonのT-30で聴いていた時より、円やかさは後退していますが中音域の明るさが心地いいです。JAZZやヴォーカルを聴くととても彩どりが綺麗で、味わいもあるように聴こえます。
旧いトランスだと帯域が狭くてナローな印象を持つのですが、実際にはそんなことはなく、新しい器材を加えて使うとハイレゾになります。PCM96 24bitのソースと比べると音の切れ込み方に差異がでますが、僅かに中庸な音になり長く聴いている分には心落ち着いて聴けます。
なかなか、いいトランスだと思います。