久しぶりにとても良い本に出逢った。心臓が止まり脳の活動が止まるまでの記憶が走馬灯のように蘇る。とても明瞭で細やかな筆致、情景の描写は鮮やかでリアルに浮かぶ中に心の嘆きやふれ合いがほんわかと映し出される。
蒼く硬さのある文体に青い蕾のほころびがあり、純粋に感じたいにしえの想いを呼び起こさせる。本を読んでいると様々なことを連想する。それは必ずしも本のテーゼとは違うことが多いのだけど、最近になってやっとそれが読書なのだと思うようになった。
子にとって親は神のような存在だとあらためて感じ、真摯に見る眼は優れた洞察であるにもかかわらず、それは多くの場合異質として扱われるのはいつも変わらない。神様に祈るとはきっと自分を信じるようにすることだと想う。
5人のかけがえのない友人とその生き方の中に、様々な偏見が身近にあることを気づきながらも友人の友人は友人なのである。きっとそういう世の中になって欲しいと思うし、そうなるだろうと祈る。
10分38秒までを読み終えると、まだ1/3のページが残り第2部が始まる。
死して屍を残さず、心を照らされる
そして、ヴェルディのレクイエムが鳴っている
隙間から魂の泳ぐ声が滲んでゆく