七つの殺人に関する簡潔な記録を読んでみた  マーロン・ジェイムス 著  旦 啓介 訳

 本の厚みがすごい、なんと700頁もある。ふつうだと上下巻に分かれるのだと思うけど、なぜか1っ冊なんです。読むのに苦労するかなと思ったけど、文自体は平易なのでなんとかなりました。


 レゲエの神様と言われた歌手が凶弾に襲われた事件を基にした裏社会の話で七つの殺人とあるけれど殺された人は多いし、卑猥で罵詈雑言がマシンガンのように打ち出され、R18にした方が良いように思える。

 これを読み終わると最下層の貧民は死することが普段着のように思えてくる。そんなことはないように思うのだけど、ラスコーリニコフの論理だって、あながち間違いじゃないんだって思えてしまう。


 それから200年経ってもあんまり進歩しないんだ。余りにもジーザス・クライストって本の中で叫ぶのだから、登場人物の性格描写がダブってしまう。ジャマイカでは確かに歌手はジーザスだったのかも知れない。

 彼の歌で好きなのは、バッファローソルジャーなんだけど、本では死んでから出た曲になってる。そうなんだ、初めて知った。随分とむかしにクラプトンのカバー曲で歌手を知ったけど、ジャマイカの情勢を知らずに歌手の曲を聴いても、

 なぜか目頭が滲むことが不思議だった。