ロイ・ブキャナン『メシア再び』『LOADING ZONE』を聴く:レビュー

 『メシア再び』

 ロイ・ブキャナンは1970年代に活躍し、テレキャスターを有名にしたギタリストと言われてます。エレキギターの奏法や音の出し方などで先駆的であり、むせび泣くギターでも有名です。


 本作は、デビューアルバムにあるメシア再びを取り上げて、アルバムタイトルにもなっていますが、これは邦題で原題はA Street Called Straigtです。

 内容的にはブキャナンの朴訥とした詠い方が印象に残ってしまい、ギターサウンドは穏やかな楽曲が多い中、タイトル曲は語りの入った楽曲でエキセントリックなギターが渋いです。

 力みなく落ち着いた構成であり、ギタリストというよりは素朴な楽曲のアルバムという感じです。ギターワークを楽しむなら次作のLoading Zoneだと思います。


『LOADING ZONE』

 アルバム『LOADING ZONE』は、スタジオ録音の6枚目にあたり、参加しているミュージシャンがヤンハマー、スタンリークラークと豪華で1977年にリリースされている。ジェフ・ベックがブローバイブローでロイ・ブキャナンに捧げるとクレジットして有名になった。
 泣きのギターといわれているが、このアルバムではフュージョン系の音になり、新しいギターサウンドが展開されていて本領が発揮されていると思える。これはヤンハマーとスタンリー・クラークがチックコリアのリターン・トゥ・フォーエバーに参加していた影響をうけているように思える。

 テレキャスターのギターサウンドが兎に角気持ちよく、どこまで弾くのだろうと吸い込まれてゆくのが痛快である。このサウンドの流れに続くと思われるのがアル・ディ・メオラの初期の作品である。
 ロイ・ブキャナンはジミヘンの演奏を見た時に、自分がテクニックで苦労して出す音を、電子機材を使っていとも簡単に出すのに驚いた。そのせいだろうか、シンセサイザーを取込んでかなり複雑な音の重なりを作っている。
 そうかと思えば、カントリー調な素朴な唄もあってクロスオーバーした広がりのあるアルバムだ。


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