UTCのトランスはメリハリがあって明るいのが特徴で、特にこのA-11は高域部分が持ち上がる特性になっている。
YAMAHA A2000のフォノイコと相性もよくて抜けの良い音を聴かせてくれるわけだけど、A2000にはMCヘッドアンプもあることから、現在はリニアテクノロジーのオペアンプLT1115で作ったフォノアンプに繋いでいる。
こちらも切れのよいフォノイコなので、少々元気がよすぎるぐらいだ。
3Ωと40ΩとPassの3段階に切り替えができて重宝しているのだか、なにせ3Ωのカートリッジと言えばオルトフォンしか持っておらず、相性があまりよろしくないので使っていない。
それに20Ωあたりのカートリッジが増えてしまって、複数のアームに取り付けると昇圧で困る事態になってしまった。
なので、3Ωを20Ωへ改造しようと思う。
入力をカートリッジの内部抵抗で表示しているけど、SPU Synergyなどは2Ωですが、出力は0.5mVもあるので、昇圧が30倍もある3Ω表記の入力では大きすぎて使えません。
それなのに推薦負荷インピーダンスが10-50Ωと記載されていて、そんな環境で使える方は限られているのではないかと思ってしまう。
話がそれてしまいましたが、入力の表記を出力電圧にした方が適切ではないかと思ってしまう。
A-11は3Ωと40Ωの切替のために、2次側コイルも50kΩと25kΩに切り替えていてちょっと複雑だし、センタータップからの取出しより、フルに使用した方が音が良くなるという説もあるので50kΩに合わせた。
次に1次側コイルは、200Ωと250Ωのいずれかを選ぶのですが、昇圧が各々15.8倍と14.1倍になり、それほど違わないので配線変更の容易な250Ωを選択した。
ちなみに昇圧の計算は、E2=E1*√(R2/R1) の式に1次側の電圧E1を1Vと仮定すればできるとのことです。(R1:一次側コイル抵抗値、R2:二次側コイル抵抗値)
配線は簡単に終わり、音出しテストにあたってChriskit MK6 に接続したのですが、相性の悪いのを忘れてました。
ボリュームを上げると、なぜか左側のインプットをターンテーブルから繋ぐとブーンという音が気になるのです。
ターンテーブル側の問題かと思い、右側をトランスの左側に入れても唸り音がでます。ターンテーブルのアースの接続の有無に関わらず唸り音がでるのでハムかと思い、以前から気になっていたアースの取りまわしをRCA端子のマイナス側との接続を切って1本にまとめ、フォノイコへもアースを繋ぐように変更しました。
残念なことによりひどくなってしまい、結局元に戻してオペアンプLT1115のフォノイコにつないだのでした。
さて音の方ですが、何の問題もなく20Ωも40Ωも音が出ました。
40Ωは聴いた時間が短いのでいけませんが、以前と変化がないように思えます。20Ωに関しても良い結果となり、年の初めの試としても嬉しいです。
20Ωの方がLT1115と組み合わせても僅かにトーンが落ち着いてクラシックを聴いても華やかさのなかに和らぎが出てきたようですし、ジャズは旧いバップを聴くと嵌ります。
カートリッジとの相性では、オーディオテクニカ AT-33Sa、 SAEC C-1、 DENON DL-103が合うようです。
AT-33Saは精緻でシャープなHiFi系の音なので、明るくてクッキリとした押し出しのあるA-11とは特に相性が優れているようです。
ハイレゾの音の方向ですがデジタルと違って、ほんのりとアンニュイな風合いが、これまたいいんです。