ミルト・ジャクソンの弾くビブラフォンでJAZZを聴く

 ミルト・ジャクソンはヴィブラフォンの名手でMJQを結成した。MJQ=モダンジャズカルテットの訳だけど、当初はミルト・ジャクソン・カルテットだった。さすがバップ時代からの大御所だけあって、共演している方々も大御所のかたばかりで愉快です。

 Opus De Jazz

 https://audio-fragrance.blogspot.com/2020/06/saiyuuki-go.htmlのリーダーアルバムで1957年の録音ですから、34歳の時で充実した演奏を堪能できる。フランク・ウエスがフルートを吹いていて、意外とJAZZにあうんですよね、そこへエディ・ゴメスのベースが唸るようにはいってきて面白い。ビル・エヴァンスの時よりも奔放で豪快なベースを弾いていて、伴奏者としての活動が多いのだけど、隠れた主役になっている。



 落ち着いた雰囲気もあれば、ミッドテンポで明るくメロディアスな曲など、あらゆるビブラフォンの奏でる音を堪能できる。どこをとってもミルト・ジャクソンなんだとわかる雰囲気を醸し出ている。


Bags Meets Wes!

 これは凄い!ミルト・ジャクソンとウェス・モンゴメリーの共演アルバムになっていて、とても素晴らしい演奏で名盤だと思う。こんなにビブラフォンの明るさとちょっとどこか日の影るギターが織りなすメロディが溶け込むなんて思ってもしなかった。1961年の録音、ミルト・ジャクソン38歳、ウェス・モンゴメリー38歳と同じ年で脂ののりきった年代で、演奏も実に情緒あふれる陽ざしを帯びながら、そこはかとなく落ち着いて聴ける。そこに、ウィントン・ケリーのソロ・ピアノがすっと出てきて、切れの良い持ち味を奏でてくれる。そのバランスが絶妙なんです。それに、サム・ジョーンズのベースとフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスがきっちりとベースラインを押さえてくれる。この3人がサポートしていると名盤になりやすいと思ってしまう。


 当然、ミルトのビブラフォンが楽しめて、モンゴメリーのオクターブ奏法も愉しめる。それにケリーのピアノが絡んで、三者三様の眺めが望めてなんの違和感もなく、夜更けにスコッチでもやりながら、時間が緩むのだと想う。


Miles Davis and the Modern Jazz Giants

 これとBags Grooveの2枚はクリスマスの日に録音されたマイルス・デイビスの同一セッションで、2枚とも優れたセッションだから両方聴くとより愉しいし、同じ曲の別テイクがあって、ジャズって瞬間なんだなぁとしみじみ思う。まぁ喧嘩セッションと言われて有名ですし、聴けば聴くたびに効いてしまう音でいつでも生きてるんです。

 モンクが弾くのをやめたテイクがA面の一曲目にあるところに、このLPの凄さが出ててると思う。モンクのソロが始まるとモンクらしい不協和音のような旋律を一音一音ゆったりと弾くのだけど、的確で早いドラムとベースのリズムセクションにあっている。だけど、ピアノの音が無くなるのにベースとドラムは変わりなく、ごく普通にリズムを刻む音がこれまたカッコイイ、ベースはパーシー・ヒース、ドラムはケニー・クラークのMJQの二人です。そして後方からトランペットのメロディが挿入されるとピアノを再び弾き始めるんです。


 でもやっぱり隠れた主役はミルト・ジャクソンのビブラフォンで、マイルスのソロと遜色がありません。すごいメンバーなのでどなたの演奏もカッコイイのですが、聴き終わるとどうしてもビブラフォンの音が残っちゃうんです。


Bags Groove

 クリスマス・セッションのもう1枚です。A面の1曲目の出だしを聴いた瞬間に、あっあの曲だと気づきました。有名な曲なのでどっかで聴いているのですが、このLPとは知らずに買っていることが笑えます。ミルト・ジャクソンのビブラフォンが冴えわたる名曲ですよね、ビブラフォンの響きが心地良く、こんなにジャジーなんだと思えるし、余韻の消え方が弦ともピアノとも違ってちょっとぬくもりが蕩けるようにスピーカーが鳴ってくれると嬉しいです。そして、同じ曲を別テイクで2曲続けてあり、これでA面が終ってしまうのですが、聴き飽きるということがありません。まぁ、BAGSはミルト・ジャクソンのニックネームらしいので、そのとおりミルト・ジャクソンのLPに思えます。

 Miles Davis and the Modern Jazz Giantsとあわせて凄いメンバーですよ、マイルス・デイビスにMJQの3人であるミルト・ジャクソン、パーシー・ヒース、ケニー・クラーク、それにピアノの大御所であるセロニアス・モンク、そしてソニー・ロリンズまでいる。是非聴いておきたい2枚です。

マイルス・デイビス

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