ジェフ・ベックのワイヤードを聴く

 ジェフ・ベックと言えばイギリスのロック三大ギタリストの一人だ。この三大ギタリストはロック黎明期にヤードバーズというバンドがあり、3人ともここから出たのだけどバンドはさほど売れなかった。
 一人はエリック・クラプトン、もう一人はジミー・ペイジで、ヤードバーズの後のバンドが各々クリーム、レッド・ツェッペリンだからメジャーバンドになっている。それを考えるとジェフ・ベックはバンドとしてよりソロとして名を馳せたように思える。

 ジェフ・ベックグループというバンドではハスキーでサッカー好きなロッドスチュアートが有名になったベック・オラというアルバムがカッコイイ、それからカーマイン&アピスとのライブ盤なんかはギンギンロックンロールでジェフ・ベックのギターが唸り続けて、これまたカッコイイ。
 このギターの唸りとディストーションの効いた震えをオーディオテクニカのAT-33Saはメリハリよく聴かせてくれる。明瞭で音の立上りが鋭く、さすがデジタル時代のHi-Fiカートリッジだと唸らされる。低音の出方もタイトで膨らむことが無く、バスドラムのドシっとした音が響く、でもそれ以上に高音域の音の張りが伸びやかで綺麗です。
 音楽のまとまりとか言われるけれど、奥行きや左右の音が録音編集された意図通りにでるのであれば、音楽性の問題はプロヂューサーのセンスだと思う。シバタ針なのでレコードノイズを拾いやすいかと思っていてけど、それほどではなく十分に使い易く非常に優れたカートリッジでモニターライクだけど意外と機器疲れはしなくて嬉しい。
 ジェフ・ベックを有名にしたのは『悲しみの恋人たち』というスローなインストルメンタルな曲で前作アルバム『Blow By Blow』に入っているインストルメンタル曲です。ちなみに邦題は『ギター殺人者の凱旋』という衝撃的なタイトルになっている。
 この後に出たアルバムが今回の『ワイヤード』でこれもまた全曲インストルメンタルでヤン・ハマーのシンセサイザーとのツインリードが炸裂する音を聴いてぶっ飛んだ覚えがある。ジャズがフュージョン系になってきてカテゴリの境が無くなりだしたころといえどもロックフュージョンと呼べるのは後にも先にもこの1枚だけではないかと思う。
 フュージョンというとシャカタクやカシオペアを思う人が多いと思うけど、もともとジャズからの流れなので力づよいウェザーリポートが王道ではないかと思う。でもやっぱりウェザーリポートはジャズなんだよね。ワイヤードを聴くとそれがよく解る。