とばりの降りたころ、レコードに針を載せてスコッチをグラスに注ぐとそこはもう1950年代後半のブルーノートだ。若いころにビールを飲みながら地下にある店の片隅で聴いたJBL4350の空間が振動するフレーズが忘れられない。
拙宅ではとても実現しない音だけど、ゴールドリング1012GXと言うカートリッジで聴くジャズは愉しい。シュアーのタイプⅢもいいけれど、この1012GXもいい。解像度が高いわけではないが、音楽を聴いていると自然と身体が揺れるようになる。
なんていうんだろう、グルーヴ感というかスイングすると言うか、音楽のうねりの中へ弾きこんでくれるのだ。だから奏者のハートとハートがぶつかって音がほとばしる雰囲気が伝わってくる。
よく通った地下のお店はもうなくなってしまい、もう聴くことはできないけど、その余韻のある音を拙宅でも聴けるのは実にうれしい。