BUTTERを読んでみた  柚木麻子 著

 連続殺人事件の女性容疑者である梶井は男性をもてなすために料理にこだわった。彼女のインタビュー記事を書く女性もまた料理にのめり込んでゆきながら容疑者の生い立ちを描く。


 主要な人物は容疑者の梶井、そして週刊誌の記者と退社した同僚の女性三人だけども似通った像の印象を受ける。それでも梶井はなんとか人物を把握できるけど他の二人の見せる像形はぼやけてしまう。いろいろなシーンに当て嵌まる役柄をこなすように作られているし、女性の世間に関する意見は作者の代弁をしていて傀儡のように見えてしまう。
 梶井は容疑者なのだけど、なぜ拘置されるほどの証拠があるのかはいっさい記述されない。これがギミックの始まりなのだけど、レトリックに溢れ、構図のギミックに凝りすぎた陰影が滲み出ている。なぜかテレビの連続ドラマのように毎週のエポックが必要だったような感が拭えない。なにせマーロウのような探偵話が出てきてエンターテイメント満載です。
 登場人物の多くは家庭の崩壊を経験した人が多いせいか、刺々しく痛々しい空気感が漂わせてあり、そのせいで話題になる料理がさめざめとしてしまい、ちっとも美味しそうに観えないのが淋しく感じる。どちらと言えば料理の話が本線のように思えるのに…食を制するものが家庭を制する。
 それにしても感謝の気持ちが無い作品の料理みたい。