レイモンド・チャンドラーと言えばハードボイルド。あのかの有名なセリフはこの小説に書かれているのだけど、さてはて村上春樹さんはどのように訳したのだろう。
『男はタフでなければ生きていけない、優しさがなければ生きていく資格がない』もうハードボイルドの代名詞のような言葉です。でもこれは、この本の訳ではなくて映画のキャッチコピーで生島さんの訳は『強くなければ生きていけない。優しくなれけば生きていく資格がない』です。村上氏の訳は『厳しい心を持たずには生きてゆけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない』うーん、こちらは人間味が出てますね。
なお原文は、『If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive』です。
本の中でもタフという言葉がよく出てきて、ハードボイルド=タフというイメージそのままです。タフと言うと頑丈な身体つきを思い起こすのですが、本の中ではどちらというと精神的に耐える力強さのように思え、強がりとも言えるような気がしないでもないです。実際には両方なんでしょうかね。僕もなってみたいものです。
本当にハードボイルドとサスペンス、男と女のことのために書かれたような本で、良くできたエンターテイメント映画を観ている気分で楽しいです。