人類が細菌でほぼ死滅した後の話、どれくらい未来なのかはよく判らない。でもインフラは使えないので原始的な生活になっていて、人ではない人に近い創造されたクレイカーもいる。
中年女性トビーの恋愛と嫉妬のくだりがだらだらと続き、つまらなさが鼻につくころに主人公らしきアダムとゼムの話が始まり面白くなる。なぜ人類が死滅するようなことになったかのいきさつは匂わせがあるだけで判明しない。どうも本は三部作のようで本巻は最終話だった。でも前2作を読まなくても別段問題はないようだ。
ピグーンと呼ばれる豚に人の脳の細胞を付加したような動物が出てくるし、クレイクという人物がつくったクレーカーと呼ばれるミュータントも出てくる。クレーカーを通じて人とピグーンは会話もできる。マッドアダムとはアダムの創った組織のようで、そこに居た人たちが細菌から逃れて生き残っている。またローマ時代のグラディエーターのような剣闘士も生き残りがいる。
クレーカーは草食で争うことがないように遺伝子操作されているようだ。そのクレーカーにトビーが文字を教え、マッドアダムの人たちの物語を記載する。どうもクレーカーが人に変わるように細菌が流布されたように思える。エヴァンゲリオンの人類補完計画を想起させられる。そして記載された物語は新たな聖書になるのだろう。