侍女の物語の続編なのですが、単独で読んでも何ら困らない構成になっています。設定がギレアデと言う専制国家の中で起きる物語で誓願はギレアデ国が崩壊に導く4人の女性の物語になっています。
侍女の方が物語と表題にありますが、文脈の感じからは哲学的な香りが強く、誓願の方が展開的にも崩壊への活動として物語と言えます。文体も誓願の方が読みやすくストーリーに惹きこまれるようなリズム感があります。これも本の持つコンセプトの差異なのだと思いますが、侍女の物語は1985年の作品で誓願は2020年と35年も過ぎているので、作家の変化もあるだろうし訳者も変わっていることもあるように思える。
原題のThe TestamentsをGoogle翻訳で見ると聖書、Testamentsだけにすると遺言、まさしくその通りの物語で、誓願は「神や仏に誓いを立て、物事が成就するように願うこと」とのことだが、本書では神に誓っているわけではないように思う。
実に流暢でストーリーのテンポも良くて読みやすいのだけど、機密の運び方や国外にいる主人公の一人がギレアデに赴く必要性などおやっと思うところはあるけれど、物語の高揚や面白さが十二分にカバーしてくれる。