歩くという哲学を読んでみた   フレデリック・グロ 著  谷口亜沙子 訳

  哲学に歩行派などという派閥があるのか、歩くこと自体が哲学を擁立するのかと思ったけど、歩くことが好きな人たちの思考や小説、詩についてのエッセイみたいなものだった。


 歩くことが好きな方なので、哲学者になれるかと思いたかった。まぁそんなことがあるわけはないのだけど、出てくる偉人の多くはなんだか病に侵される方が多いのが寂しい。
 机の上だけでは考えに行き詰まることはよくあることのように思える。思考が目まぐるしく散乱する中で、ふと歩いてみると急にアイデアが浮かぶというのはよく分かる。脳内のニューロンをシナプスが受け取る回路が突如として違う経路に飛ぶっていうことだと思う。そういう意味では科学者もまた著作の中に入れてみてはいいのではないだろうか。