回路はぺるけさんの71Aミニワッター、これをヘッドフォンアンプとして使おうと思い作ってました。東栄の小型出力トランスが売り切れで生産中だったりして、部品を購入し始めてから完成まで1年半もの月日が流れてしまいました。
多忙であった訳ではなく、却って暇人になったのが日数のかかった要因だと思います。制作の期間が飛び飛びになったせいか、配線忘れがぼちぼちあってちっともボケ対策になっていません。
真空管の71Aを買うのにも良い物が出てくるまで根気良く待った甲斐もあり、Tung-Solの2本を購入できました。あと2sk30AでIdssが3.7mA以上なんてのは困難なのですが、運良く2sk246-MLと2sc3209入手できました。なのですが後に困ったことになるとは思いもよらず…そしてアルプス電気のRK27もアキバコバデンが安価に売っており、本体はゼネラルトランスに300*200*60 t1.2があり、それに合う底板カバーもあって助かりました。トランスカバーはリードのS22です。
道具としては角穴や真空管を挿入する穴を空けるのにハンドニブラーをアマゾンで買って、板厚1.2でも問題なく使えてよかったです。
配線材が底をついたということもあり、4Ωのスピーカー端子は繋いでありません。我が家に4Ωのスピーカーは無いので使うことはないでしょう。今回は配線を丁寧にと思ったのですが、やっぱり不器用ですし、増幅部の基板の向きが逆になっているのが配線の乱れにつながっています。
ラズパイのデジタル音源をifiのDACにつなぎ、71AとはRCAケーブルで接続、いよいよ音出しです。イヤフォンを通してアニタ・オデイのハスキーな唄声がセンターに浮かんでいる。アニタにしてはなかなかの美声にちょっと戸惑う。いずれにしてもとてもほっとして嬉しくなるものです。
そこから2日間のならし運転を行ったのですが、3日目になんと音がでない。ボリュームを上げると時々悲鳴のような雑音の混じった音楽が飛び出る。どこかの配線のハンダが外れたのかと思ったのだけど、そうでも無いようなので電圧を測るとカソード電圧が280Vほどあって、驚いて電源を切った。71Aは大丈夫なんだろうか?そう言えば差し間違えて90度半時計回りに入れてしまったことがある。それにしても左右両方が一度に壊れるものだろうか?
テスターで何度も回路を確認するけれど、おかしいところは見当たらない。真空管を差し替えるにも2本しか無いので、たまたま安価な71Aが出ていたので買ってしまった。それが届いて差し変えても症状がおなじで、グリッド電圧も280Vほどある。初段で電流が流れてくれないと電圧が下がらないようだ。それにしても初段のトランジスタが左右両方が一度に壊れるなんて考えられないのだけどと思いつつ、マルチファンクションテスターを当ててみたら、2sk246がダイオード表示になってしまう。しかも左右両方である、基板についたままで測定すると誤判定ということもあり得るので、不思議に思いテスターでいろいろ測ってみた。そうしたらソース側の電圧が0.1Vしかない、ぺるけさんの表では0.5Vはないといけないようだ。
そこで2sk246-MLを購入しようとしたら売り切れだった。あらあらと思いつつ仕方なく2sk2880-Eを買って交換すると、グリッド電圧が67Vに下がって正常に戻った。2sk246が壊れたのだけど、要因はわからないので代替部品も壊れるかもしれない。
試聴を重ねてみると、250Ωのヘッドフォンでは良いのだけど32Ωになると本当に僅かにハム音がして気になる。あまりにも微かなので室内に静けさがないと気づかない、でも気になるのでヘッドフォンの出力に入れてある抵抗値を上げて対処することにした。これで穏やかに聴くことができるし、無音であることが音楽を際だててくれる。
それにしてもトラブル対応が拙速でよくない、慌てて対応すると碌なことがない。代替品の2sk2880だって低雑音な2sk2881を買えばよかったはずなのに…まぁハム音はいろいろな要因があるのでと思うことにしよう。
さて音質なんだけど、情愛のある懐の深さを感じる音で低音もよく響いて、大きな箱のスピーカーで聴くような風合いがある。逆に言えばタイトでスピード感のある音ではないけれど、レッドツェッペリンのバスドラは押し出しがいいし、ギターのチョーキングやヴォーカルも艶があって心地よい。ぺるけ式ヘッドフォンアンプVer4に似ているけれど、こちらの方が高音の響きがよく艶がのるようだ。そのせいかソプラノのルートヴィヒやヴィバルディのカンタータがとても気持ちよく浸透してくる。ではジャズはどうなんだろうとワルツフォアデイビーを聴くと、ラファエロのベースが左のステージから襲ってきて思わず息を呑む。伴奏のピアノのタッチが小さなホールに響き、ブラシのシャカシャカ音もちょと奥で正確に刻まれる。そしてベースの弦が指板に跳ねるカシカシという音が綺麗に聴こえる。
ヘッドフォンとの相性はとても良い感じで、DT1990proはこのアンプが一番似合っているようだ。AKG K812は高音域の伸び方がより一層際立ち、TH909は色彩がついて愉しさが湧いてくる。HE400seは活気が出て安価だとは思わせない為り方がしてうれしい。